2回目の抗がん剤投与から11日目。

副作用の影響で身体が重く、動きが鈍かったのが解消され、今日はずいぶん軽く感じます。夕方、家の近くを散歩し、体力回復を図りました。と言っても、骨髄抑制期間中ですので、つまずいて転ばぬよう慎重に歩きました走る人

散歩の途中、民家の庭先にナナカマドの赤い小さな実がたくさんなっているのを見つけました。私には子供の頃、同じような赤い小さな実でオンコの実というのがあって、ちょっとした思い出があります。オンコの実はナナカマドの実と比べて、赤みが濃く、柔らかくプニプニした感じがして、中心部に種があるのが下から窺えます。

近所のお兄さんに勧められて食べてみると甘かったのですが、「種には毒があるぞ❗」と脅かされて、べべっと吐き出したのを強烈に覚えています。それ以来、子供の頃から慎重だった私は二度とオンコの実を口にすることは有りませんでした。※オンコは、熟した果実以外の部分は全て有毒です。

50年以上経った今、まさかこのオンコにお世話になるとは思ってもいませんでした。

オンコの木は私が生まれ育った北海道での呼び名であって、正式にはイチイの木のことです。私が今投与されている4種類の抗がん剤のうちの一つ、パクリタキセル(タキソール)の原料です(正確には、同属のセイヨウイチイからで、現在は化学合成や細胞培養で作製されています)。

去年の「ジャパンキャンサーフォーラム2018」の
肺がんのセッションにおいて、後藤悌先生のプレゼンで、最初は毒などいろんなものから癌に効く薬になるものを片っ端から探したという説明がありました。その中で、イチイの実の写真が出たときは驚きましたよ。忘れもしない、子供の時に口にしたオンコの実だガーン

おかげさまで、パクリタキセルは副作用がキツいですけど、リンパ節転移には効いているようです。タキサン系の抗がん剤は、パクリタキセル(タキソール)以外にナブパクリタキセル(アブラキサン)やドセタキセル(タキソテール)がありますから、今後色々試すことになるのでしょう。

北海道でオンコと呼ばれている名前の由来は諸説あって定かではありません。私的には腫瘍学を意味するオンコロジー(oncology)に通じているのが妙な巡り合わせで、ミステリアスなのですけどね。