日経メディカルに、放射線治療の役割は「局所制御」から「抗腫瘍免疫の刺激」へ、という興味深い記事が掲載されています。

10月に京都で開催された日本放射線腫瘍学会で、放射線治療は免疫活性を賦活して免疫チェックポイント阻害薬の効果を高める可能性が議論されたそうです。

 

アブスコーパル効果とは、局所治療であるはずの放射線治療により、照射部位と離れた別の病巣も同時に縮小する現象として知られており、そのメカニズムとして放射線治療による宿主の免疫の活性化が関与していると推測されています。

 

放射線治療による免疫応答のメカニズムは、まず第1段階として、照射による細胞死が起こり、HLA-Class Iの発現が増え、死んだ細胞からdanger signalが出る。次に、死んだ腫瘍細胞は貪食されて、第3段階として、炎症性サイトカインが誘導される。その結果、樹状細胞の成熟化、抗原提示、そしてT細胞が活性化され、最終的に抗腫瘍効果に至るのだろうとのことです。

 

フェーズ3試験のPACIFIC試験ではステージ3の非切除NSCLCに対し、CCRT(同時化学放射線療法)後にイミフィンジ(デュルバルマブ)もしくはプラセボが投与された。その結果、デュルバルマブ群でPFSは有意に延長し(ハザード比0.51)、OSも有意に延長した(ハザード比0.68)など、放射線療法との併用で免疫チェックポイント阻害薬の効果が増強された結果が示されています。

 

EGFR遺伝子変異陽性の場合、免疫チェックポイント阻害薬の効果が出にくいと言われており、さらにEGFR-TKIと免疫チェックポイント阻害薬を併用すると間質性肺炎のリスクが高まることが懸念されています。だからこそ、このような放射線治療との併用であったり、先日話題にしたIMpower150試験のアバスチン(ベバシズマブ)追加の意義が明らかになったりして、今後EGFR遺伝子変異陽性患者にも免疫チェックポイント阻害薬が有効な治療法として使えるようになって欲しいものです。