先週からタルセバ(エルロチニブ)とアバスチン(ベバシズマブ )の併用療法を始めました。

タルセバは、第一世代のEGFR-TKI(上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤)で分子標的治療薬のひとつです。EGFRの働きを阻害して癌細胞の増殖を抑制します。

 

アバスチンも分子標的治療薬のひとつです。がん細胞に直接作用するのではなく、がん細胞を巡る環境に働きかけるという特殊な存在です。

 

がん組織はVEGF(血管内皮増殖因子)というシグナル物質を自ら放出し、がん専用の新たな血管を作り出して、栄養や酸素を直接取り込めるようにしてしまいます。アバスチンは、がん組織が放出したVEGFの働きを阻害し、がん専用の新しい血管を作らせないようにする血管新生阻害剤です。栄養や酸素を供給する道を塞ぐことから、がんを兵糧攻めにすると言われています。

 

さらにアバスチンは、既にある血管を整備して通りをよくする働きを併せ持ち、抗がん薬ががん組織にスムーズに行き渡るようにしてくれるという効果も併せ持ちます。

主役の抗がん剤と併用されて力を発揮する名脇役ですね。

 

ところが縁の下の力持ちのような日陰の存在かと思いきや、2017年の国内医療用医薬品市場において、製品別売上高では、中外製薬の「アバスチン」が1142億4300万円を売り上げ、なんとトップの座に輝きました。1002億5400万円を売り上げた小野薬品工業の免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」を3位に抑えての快挙です。

 

「アバスチン」には相棒となる抗がん剤が多数いるので、ひっぱりだこなのでしょう。私の体重では3週間に一度の点滴で薬価が40万円(3割負担で12万円)ですから、もっと安くなってもいいのではないでしょうかね。

 

さらにアバスチンは、血管新生阻害だけでなく、免疫機能アップに関与していると考えられており、免疫チェックポイント阻害薬との併用にも期待されているのです。

 

一方で、アバスチンは兵糧攻めと血管整備によってダメージを与えて、一時的に小さくすることはできるものの、その状況下で少数なりとも生き残ってしまったがん細胞は、さらに悪性度を高めてしまうかもしれない、という恐れもあります。副作用も心配ですね。

 

現状で私に効いて欲しいのはもちろんのこと、将来は完治を目指した治療に発展して欲しいものです。