EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんの一次治療に第3世代のEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)であるタグリッソ(オシメルチニブ)が使えるようになりました。そうなると、これまでの第1、第2世代のEGFR-TKIはお払い箱になってしまうのでしょうか。第1、第2世代の製薬会社は堪ったものではありません。

 

日経メディカルの記事によると、第2世代のEGFR-TKIであるジオトリフ(アファチニブ)の製薬会社のドイツ ベーリンガーインゲルハイム社(Boehringer Ingelheim GmbH)は、実臨床において1次治療でジオトリフ(アファチニブ)を投与し、T790M変異が発生した患者に2次治療としてタグリッソ(オシメルチニブ)を投与した場合の、治療期間の合計を調べるレトロスペクティブな研究であるGioTag研究の結果を公表しました。研究の結果はFuture Oncology誌に同日掲載されました。

 

GioTag研究の結果、ジオトリフ(アファチニブ)投与からタグリッソ(オシメルチニブ)投与終了までの期間(化学療法フリーの期間)の中央値は27.6カ月でした。特にエクソン19欠失患者では治療期間の中央値が30.3カ月、アジア人では治療期間の中央値が46.7カ月となりました。

 

一方、1次治療におけるタグリッソ(オシメルチニブ)の有用性および安全性を検討した第III相国際共同FLAURA試験の結果では、PFS中央値が18.9カ月でした。

 

EGFRセミナーで大江先生は、第1、第2世代を先に使って第3世代に繋げた方がトータルでPFSが長くなるのではないかという議論があるけれども、1次治療から2次治療に行ける人は6割、さらにT790Mの変異を獲得できる人は半分であること、そしてタグリッソ(オシメルチニブ)の副作用が圧倒的に軽いということから、第1、第2世代は1次治療で使われなくなるだろう、とのことでした。

でも、GioTag研究の結果、アジア人でエクソン19欠失となると話は違ってくるかもしれません。

暴れん坊のジオトリフ君の攻撃に耐えればEGFR-TKIのシーケンスで46.7カ月も夢ではない?

かといって、治療は賭けではないですから悩ましいですね。

T790Mを誘導できて、タグリッソ(オシメルチニブ)にうまく繋げる治療法が待たれます。

 

そもそも、T790M出現後は腫瘍発育速度が低下し、T790MはTKI無効後の予後良好因子との報告があります。エクソン19欠失の予後が良いのは、T790M変異が多く出てくることが寄与している可能性が考えられます。今、ジオトリフ君を長く使えている人は、希望が持てますね(私見ですが)。

 

逆に言うと、私は半年余りでジオトリフ耐性が疑われており、これはT790MではなくMET増幅や組織型転換等の可能性があるということでしょうか。2次治療をしっかりすれば、T790M陽性に持っていけるかな?今週金曜日の診察で今後の治療方針を相談しなきゃいけません。どうなることやら。