2018年のノーベル生理学・医学賞を本庶佑・京都大特別教授が受賞し、TVなどのメディアでも解説や特集を組んで、祝福ムードに包まれています。もちろん、その業績は素晴らしいことですが、その一方、メディアでは正確さよりもわかりやすさを重視するが故に、夢の治療法・薬が完成したかのような印象を与えていないか心配になります。

 

例えば、あやしい免疫療法の悪徳クリニックがこの報道に便乗してこないだろうか。

NHKのクローズアップ現代で2018年6月5日(火)に放映された“最先端”がん治療トラブルでは、ネット上には “樹状細胞”“遺伝子治療”“NK細胞”など話題の医療用語をちりばめ、患者に期待を抱かせたり、事実と異なるウソや大げさな表現の広告が少なくないことや、健康食品や運動療法などの補完代替療法など、さまざまな情報が氾濫していることを紹介していました。

 

オプジーボなどの免疫チェックポイント阻害剤にも課題があります。薬価が引き下げられているとはいえ、高額な治療費は健康保険に深刻な影響を与えかねません。2割程度の人には良く効くのだけれども、薬の効果の予測が難しいことや、効果判定に時間がかかる場合があり、やめ時がわからないこと、どんな副作用が出るか予断を許さないことなどがあり、まだまだこれからです。
我々EGFR遺伝子変異陽性患者への免疫チェックポイント阻害薬は効果を発揮しづらいと言われているだけでなく、オプジーボ投与歴のある患者にEGFR-TKIを投与するにあたり、間質性肺疾患への注意喚起が厚生労働省から出されています。

 

製薬会社と医療関係者・患者団体との関係の透明性を確保し、薬の宣伝に踊らされないようにすることも必要でしょう。

 

とは言っても、免疫療法に未来があるのは確かなので、ノーベル賞受賞を弾みにして、この領域が大いに進展することを期待しましょう。