今度の水曜日に、脳の造影MRI検査を受けます。肺がんの脳転移が判明した時以来の半年ぶりです。脳転移があるといっても、痛みや違和感などの自覚症状はありません(無症候)でしたので、分子標的治療薬ジオトリフによる治療で経過観察しているのです。
遺伝子変異を有する無症候性脳転移患者に対して、分子標的治療薬の有効性についてはガイドラインでは推奨グレード1C(弱いエビデンスがあり、推奨する)です。学会でもジオトリフ(アファチニブ)が脳転移に有効である可能性が示唆されています。
断言できるレベルではないのは、脳には血液脳関門(Blood-Brain Barrier、BBB)という、グルコースやアミノ酸など脳に必要な物質は透過するけれど、有害な物質はブロックする機構があるため、薬と言えどもそう簡単には脳の内部に到達できないからです。一つの目安として、脂溶性であり分子量がおよそ500以下であれば透過できるとされています。
分子標的治療薬には、低分子薬(低分子医薬品…主に低分子化合物)と抗体薬(抗体医薬品…主にモノクローナル抗体)があります。前者は、分子量300から500と小さく、血液脳関門も通ることができ、さらに細胞膜の中や核にまで入り込むことができるように設計されており、ジオトリフ(アファチニブ)はこの仲間です。~チニブの名前が付けられています。後者は、分子量50万~70万のタンパク質であり細胞膜表面の受容体の細胞外に出ている突起などに作用します。オプジーボ(ニボルマブ)はこちらですね。~ズマブとか~ウマブの名前が付きます。
ジオトリフ(アファチニブ)の分子量は485.937ですから、血液脳関門の透過しやすさに個人差が出るレベルかもしれません。暴れん坊のジオトリフ君には、是非バリアを突破して私の脳転移病変をやっつけていてもらいたいところです。私は最初から20mgの低用量での服用ですから、これで効果が出ていれば意味があるのかもしれません。効果が無ければ増量の話や放射線治療の話が出るのだろうか。
私の脳転移病変は後頭部にあり、ここは色・形などの視覚情報を処理しているところです。今のところ、視覚に異常は感じられません。ちなみに、私はルーク(Luke)という名前を使っています。ラテン語の「光:ルカニア」に由来しており、明るさ(照度)の単位ルックス(lux)と同類です。光を運ぶ者、光をもたらす者の意味を持ち、幸運な(Lucky)に通じるものです。だから、私から光を奪わないでね。
※チェスの駒のルークはRookで戦車を意味します。チェスの終盤戦で使われ、他の駒にとって後から出てくる「新参者」になることから、「新人 rookie」の語源とされていますが、こちらではありません。