人生ではじめて

道に落ちているスマホを拾い

それを交番に届けた。


落ちているスマホを見た時

一緒に歩いていた友人が

これ絶対困ってるやつ私もよくあるんですよ

と言っていた。

意味がわからなかったが

その友人がとにかく

人の良いところを見つける人なので

私も倣った。

それってスマホに依存してない証拠だよね

私は常に触れてるから落としようがないもの

と褒めてみた。

友人は悪くない顔をしていた。

よかった。

そして友人は言った。

4回無くしたうちの3回は泥酔してたなぁ。

良いところを見つけようと

脳が走りだす前に

なんやそれと反射で言っていた。

しまった。

さっきせっかく上手くいったのに。

友人は悪くない顔をしていた。

意味がわからなかった。


余談はさておき

その落ちていたスマホは電源が入っておらず

友人が交番への道中で電源を入れていた。

交番に着くと

所謂おまわりさんが

いくつか質問をしてきた。

どこで拾いましたか?

お礼は希望されますか?

少しお時間ありますか?

そうされている間に

突然閃いてしまった。


落ちてるスマホの電源が入ってないの変じゃない?


閃いてしまったと同時に

そのまま口にも出していた。

おまわりさんがこっちを見たので

分かりにくかったのかと思って

もう一度言った。


このスマホ電源が入ってなかったから

さっき入れたんですよ。変じゃない?


おまわりさんはこっちを見ていた。


友人が名前を書いて

何個かのチェックボックスにレ点を入れて

交番を後にした。


交番から離れたことを確認し

おまわりさん、お前の方が変だみたいな顔で見てたな

と言った。

着物にベレー帽だったので

そりゃその服だとねぇ

言われるとばかり思っていたら

全然違う言葉が飛んできた。


うん、だって、

あんなわくわくした感じで言うことじゃないもん。

ほりさん脱出ゲームやってる感じで言ってたよ。


言われてみれば、閃いた時

少しの事件性を感じた時

脱出ゲームの感じがめちゃくちゃあった。


おまわりさんからしたら

突然着物にベレー帽の女がやってきて

拾ったスマホを見せながら

電源が入っていなかったことを

嬉々として伝えてくるのだから

そりゃずっとこっち見るわな。


なんにせよ

良い友人をもったなと思った。

スマホが持ち主の元に戻りますように。