研究結果:ウコンに含まれるクルクミンが癌細胞を餓死させる
2023年8月29日 // オリビア・クック
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ターメリック(クルクマ・ロンガ:ウコン)の鮮やかなオレンジがかった黄色は、ポリフェノールの一種であるクルクミンが、様々な種類の癌に対して予防・治療効果を発揮しているようだ。
がん治療の強化におけるクルクミンの臨床効果:系統的レビュー
4,500件を超える査読済みの研究が発表され、クルクミンが炎症を抑えたり、放射線療法や化学療法による化学的ストレスを防いだり、癌を促進経路を遮断したり、悪性細胞の成長と発達を妨げたりと、様々メカニズムで癌の進行を予防する事が示されている。
最近の研究では、クルクミンが、癌細胞が血液中のグルコースの形で必要なエネルギーを取り出す能力を制限する事によって、癌細胞を餓死させることが示された。このメカニズムは、大多数の癌を対象として居る為、癌予防には特に魅力的である。
クルクミンはがん細胞を餓死させる
悪性細胞のエネルギー供給を飢えさせる事は、身体が本来持っている癌抵抗力を高める理想的な方法であり、腫瘍が発見される前に癌を除去するのに役立つ。
ここでは、クルクミンが乳癌、大腸癌、肝臓癌、肺癌、前立腺癌、胃癌、白血病に対して特異的な効果がある事を示す、これ迄の研究を裏付ける、最新の文献から幾つかのハイライトを紹介する。
(関連記事:クルクミンの多くの健康効果を探る研究)
▶ 乳癌 - Breast cancer
食品科学と人間の健康誌に掲載された研究で、世界的に女性の間で最も罹患率の高い乳癌に対するクルクミンの強力な抑制効果が報告された。
研究者らは、クルクミンは、最大抑制濃度が低い場合、ホルモン受容体ERを発現する乳癌細胞の増殖を抑制し、細胞株を抗癌剤に感作させる事ができると指摘した。
更にクルクミンは、ホルモン受容体の発現とは無関係にアポトーシス(細胞死)を誘導する事ができる。
更ににクルクミンは、癌の再発を左右する重要な因子である乳癌幹細胞(BCSC)の増殖を抑制する。BCSCの増殖抑制は、転移、即ち身体の異なる部位への癌の拡散と再付着を抑制し、最終的には腫瘍形成を制限する。
▶ 大腸癌 - Colorectal cancer
大腸癌(CRC)は、最も一般的で再発し易い病気のひとつであり、世界的にみても死亡原因の上位を占めている。大腸癌(CRC)は老人の病気と考えられているが、50歳以下でも発症する可能性がある。
腫瘍学のフロンティア誌に掲載された研究では、クルクミンが細胞周期を阻害し、細胞死を促進する事で、大腸癌の転移を抑制し、化学療法抵抗性を抑制する事ができると報告されている。細胞死経路の活性化もまた、クルクミンが大腸がんに対して抗がん作用を発揮するもう一つの経路である。
クルクミンはまた、胃腸症状のある患者から採取したヘリコバクター・ピロリ株の増殖を抑制する。更に、炎症性大腸がんや遺伝性大腸癌(CRC)の動物における治療改善効果も発見されている。
国際分子科学誌に掲載された研究では、クルクミンがアポトーシス過程に関連する蛋白質合成を促進し、炎症に関連するプログラム死の経路に影響を及ぼす事が示されている。
クルクミンはまた、活性酸素種(ROS)の産生を促進し、酸化反応と溶解、即ち大腸癌細胞のミトコンドリア膜の破壊を誘導する事によって細胞死を誘発し、その結果、細胞増殖が抑制され、アポトーシスが増加する事が判明している。
▶ 肝臓癌 - Liver cancer
肝細胞癌(HCC)は、最も一般的な原発性肝癌であり、近年世界的に癌による死亡原因の第3位となっている。
肝臓学誌に掲載された研究で示された様に、クルクミンは細胞周期の調節、アポトーシスの誘導、転移の抑制、癌遺伝子(癌の発生に寄与する変異遺伝子)の発現、腫瘍形成(腫瘍の形成)等、様々な生物学的メカニズムを示した。又、肝臓癌幹細胞の集団を減少させる事も示されている。
▶ 肺癌 - Lung cancer
雑誌『薬理学的研究』に掲載された研究では、急性肺損傷、喘息、慢性肺疾患(COPD)、肺線維症、肺癌等の呼吸器疾患におけるクルクミンの役割が報告されている。
数十年に渡る研究と、近年の新しい治療法の開発にも関らず肺癌患者の5年生存率は10~15%と云う酷い水準に留まって居る。発癌性誌に発表された研究によると、この主な原因は、患者がしばしば末期段階にある事である。
生物医学と薬物療法誌に発表された研究結果は、クルクミンが複数の分子標的の調節因子として作用する事により、腫瘍増殖抑制効果を発揮する事を示唆した。
▶ 前立腺癌 - Prostate cancer
米国癌協会によると、男性の約8人に1人が生涯の内に前立腺癌と診断されるという。前立腺癌は、肺癌に次いで米国人男性の癌死亡原因の第2位である。
約41人に1人が前立腺癌で死亡する。前立腺癌の死亡率は1993年~2013年にかけて約半分に減少しているが、これは早期発見と治療の進歩による処が大きい。しかし、それ以降、進行した段階で発見されるがんの増加を反映してか、減少のペースは鈍化している。
クルクミンには前立腺癌に対する複数の作用がある。クルクミンは、癌の進行中に産生される機能不全タンパク質から前立腺細胞を防御する。又、病理学、微生物学、免疫学誌に発表された研究で示された様に、癌による近くの健康な組織への浸潤を遅らせ、腫瘍の悪性度を低く保つ(詰り、成長が遅く予後が良い)のに役立つ。
一方、『キャンサー・サイエンス』誌に発表された研究では、クルクミンは、前立腺癌細胞における腫瘍由来のテストステロン産生も抑える事ができると報告している。これは男性ホルモンの隠れた供給源であり、しばしば治療抵抗性疾患の一因となる。この開発は、これらの困難な腫瘍を治療するための新しいアプローチを提供するものである。
クルクミンを豊富に含むウコンの癌に対する使用についてのビデオをご覧ください。
癌に対するクルクミン/ターメリック