バチカンに隠された『タイムマシン』クロノバイザー伝説

マルコ・マルガリートフ 著/ジョン・クロスキ 編集
2021年3月4日発行:2021年10月15日更新

 

1960年代~1990年代迄、ペレグリーノ・エルネッティ神父Father Pellegrino Ernettiは、クロノバイザーChronovisorと云うタイムマシンの製作に協力し、イエス・キリスト(Jesus Christ)磔刑を観測したと主張していました。

 

クロノバイザー製作に協力したとされるペレグリーノ・エルネッティ神父(Father Pellegrino Ernettiは、ベネディクト会修道士であり、科学者であり、エクソシストであった。

 


1983年のエマヌエラ・オルランディ(Emanuela Orlandi)の失踪事件から、使徒アーカイブ(Apostolic Archive)と呼ばれる秘密文書集まで、バチカンの歴史は秘密に満ちている。

 

そして、バチカンの秘密とされるものの中で、クロノバイザーChronovisor伝説ほど奇妙なものはないだろう。

 

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クロノバイザーChronovisorは、時間を見通す能力を持つ装置と言われている。

 

 

しかし、バチカンの司祭であるフランソワ・ブリュンヌ神父(Father François Brune)が、2002年出版した本には、クロノバイザーChronovisor存在する事が証明されていないと書かれています。

 


ブリュンヌ神父によれば、クロノバイザーは、ベネディクト会修道士のペレグリーノ・エルネッティ神父Father Pellegrino Ernettiによって開発されたという。

 

 

エルネッティ神父は、1960年代初め迄、この装置を秘密にしていたが、ブリュンヌ神父に、有名な物理学者エンリコ・フェルミ(physicist Enrico Fermi)や、元ナチスの科学者ウェルナー・フォン・ブラウンscientist Wernher von Braunを含む12人の科学者が、この装置の製作に協力してくれたと打ち明けたという。

 

   


陰極線、アンテナ、金属で構成され、あらゆる波長の音と光の信号を受信するクロノバイザーChronovisorは、科学者チームがイエス・キリスト(Jesus Christ)の磔刑を含む過去の出来事を記録する事を可能にしたとされる。

 

詰り、この機械は、過去の出来事を直接見る事で、聖書の教えを証明する事ができるのである。

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ノーベル賞受賞者とNASAの技術者が作ったとされるクロノバイザー

 

クロノバイザーの製作を手伝ったとされるエンリコ・フェルミは、1938年にノーベル物理学賞を受賞しています。

クロノバイザーChronovisorに関する事実上の資料は、2002年に出版されたブリュンヌ神父の著書「新しいバチカンの謎Le Nouveau Mystère du Vaticanである。

 

 

 

この本の中でブリュンヌ神父は、1960年代初頭、ベニスの大運河を船で渡る際に、ペレグリーノ・エルネッティ神父Father Pellegrino Ernettiと出会ったことを説明しています。

 

 

 

エルネッティ神父は、ブリュンヌ神父と同様、古代言語の歴史に精通しており、自然に会話が弾んだという。しかし、やがてエルネッティ神父は、二人の会話を科学に向けた。

ブリュンヌ神父が、キリスト教の聖書の解釈の仕方について説明していると、エルネッティ神父「自分はタイムトラベルの装置で真理を知る事ができる」と言い出した。

 


エルネッティ神父は、自分とある有名な科学者達が一緒になって、過去を明らかにする為に相互探求を行ったと主張した。

 

その科学者とは、1938年にノーベル物理学賞を受賞したエンリコ・フェルミ(physicist Enrico Fermi)と、NASAで米国を月面に到達させた元ナチスのウェルナー・フォン・ブラウンscientist Wernher von Braunである。

 

 

 

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ナチスからNASAに転身した科学者、ヴェルナー・フォン・ブラウン(中央)

 

エルネッティ神父によると、この装置には幾つかのアンテナがあり、その内3つは「謎の」金属でできていて、音波と光波の全領域を拾っていた。

そして、その上にある「方向探知機」で見たい時代に合わせ、スクリーンに表示し、記録装置で映像を撮影していたという。

 


詰り、クロノバイザーChronovisorは、タイムマシンと云うより、過去への窓だったのだ。

 

エルネッティ神父は、この装置が、テレビの様に機能し、空間に漂う過去の反響をキャッチして、驚くべきものを見たと言っている。

 

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聖書の最も重要な場面を解き明かすとされる装置

 

設計図とされるもの


エルネッティ神父は、紀元前63年マルクス・トゥリウス・キケロ(Marcus Tullius Cicero)が、ローマ元老院で行った演説を目撃した事を語り、

 

「彼の身振り」

「イントネーション」

「何と力強い事か」

「何と云う雄弁さだろう」

 

 

エルネッティ神父は更に、イエス・キリストの磔刑を目撃した等、増々大胆な主張をしている。

 

 

ローマ帝国の建国から、ソドムとゴモラの滅亡まで、エルネッティ神父は聖書の中で最も重要な出来事を自分達が覗き見してきたと主張した。

 

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1972年5月2日、イタリアの『クーリエ・サンデー:La Domenica del Corriereという出版社が、彼の主張を掲載した。

この記事は「過去を撮影する機械が遂に発明された」と題され、エルネッティ神父の衝撃的な発言をイタリア全土に伝えるものだった。

その中で、エルネッティ神父「ローマ人がイエス・キリストを磔にする様子を撮影した」と主張するクロノバイザー
Chronovisorとされる写真も掲載され、怪しさ満点であった。

又、1972年の記事には、エルネッティ神父が、最後の晩餐を目撃し、聖書の出来事を写した写真を記念に自分用に持っていたと書かれていた。

 

エルネッティが主張した事を記録した多くの記事のひとつ。


エルネッティ神父1994年に亡くなるまで、この機械が悪人の手に渡らない様にバチカンによって隠されていると主張していた。

 

興味深い事に、バチカンは1988年「この様な特性を持つ機器を使用する者は破門される」と宣告している。

 

 

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エルネッティ神父は死の直前、公開書簡を書き、この装置が本物である事を断固として主張した。

 

彼は、

 

『教皇ピウス12世は』

『この機械が非常に危険である為』

『この装置に関する』

『詳細を開示する事を禁じた』

「と、主張した」

「人間の自由を」

束縛する事ができるからだ」

 

と、主張した。

 

 


クロノバイザーは今尚、バチカンの謎の一つである。

 

イエスの写真とされるもの(左)と、エルネッティがこの画像を発表するずっと前に制作された、不思議なほどよく似た絵画(右)。

クロノバイザーChronovisorは魅力的だが、エルネッティ神父が主張した事の多くは、その後、否定されている。

 

エルネッティ神父が撮影したとされるイエスの写真は、ウンブリアの教会に安置されている彫像の複製に過ぎないというのが、懐疑派の主張である。

 

 

又、別の雑誌では、この写真はイタリアのコルヴァレンツァという町で作られた絵葉書のイエスを反転させたものに過ぎないと主張した。

 

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1996年『パラケルスス』誌は、エルネッティ神父の主張に対して更なる批判を展開した。

 

その内容は、エルネッティ神父が自分の主張を正当化するために、なぜ装置の作り方の詳細な説明書を発表しなかったのか、というものであった。

 

更に、クロノバイザーChronovisorが、1947年のSF小説に登場する類似の装置と酷似して居る事も明らかにされた。

 

 

ブリュネは2019年、クロノバイザー信者のまま死去した。


ペレグリーノ・エルネッティ神父Father Pellegrino Ernettiが、1994年4月8日に亡くなる前に、全ての話を捏造した事を告白したという説もあるが、これは今も熱い論争が続いている。

 

フォン・ブラウン、フェルミ、エルネッティ、ブリュンの4人が亡くなった今、残るのは魅力的な謎だけだ。

その意味で、
クロノバイザーChronovisorはバチカンのミステリーとして、時代の試練に耐えているのである。

 

 

※Gen

 

クリスチャンや聖書読みにとっては

『聖骸布』と同様に充分、魅力的な『話』だ。

 

関与している科学者は

ペーパークリップ作戦の科学者ではないか?

と推測できる点からしても

 

充分可能な技術な筈であり

もっと云えば、数々の超絶技術からしたら

どうと云う事もない水準なのかも知れない。

 

疑問点が出るのは、幾ら修道士とは云え

宗教家である事は違いないのだから

それだけの装置があるならば

他の宗教の開祖等を調査したくなる筈だが?

 

ブッダ、マホメット、etc・・・

 

・・・それが無いのは何故か?

 

古代言語や歴史に精通しているのなら

聖書だけでなく拡げて調査しようとしないのか?

 

そんな事を考えてみると・・・

 

装置についての真偽は

技術的には存在するのは

間違い無いだろうと思えるが

 

登場人物全て故人と云う点からも

後から捏ね繰り回し盛り続けた

作り話ではないか?と思ったりする。

 

「本当か?」

「嘘か?」

「どっちだろう?」

 

『イエス・キリスト』と云う

或る特定の層にとっては

強烈なキーワードを使いながら

 

肯定派、否定派の対極の情報を挙げ

同じ処をグルグルと犬の様に走り回らせ

肝心要の部分に目を行かない様にする・・・

 

よく使って居る手の筈だが

この分野でも、否、この分野こそ

その手口は

充分に発揮されているのはないだろうか?

 

そう思えて仕方が無い。