ブラックホールが、星を引き裂き、1000兆個以上の太陽の光に匹敵する閃光を放つ。
2022年12月11日
ブラックホールが、1000兆個以上の太陽の光に相当する閃光を放つ星を切り裂いた。可視光領域で、この様な現象が観測されたのは初めてです。
85億光年の彼方から観得る程、強烈なエネルギーが、遥か彼方の銀河の中心から噴出したのです。
この現象は、過去10年以上観測されていないものでした。
この閃光は、カリフォルニア州のパロマー天文台から夜空全体を観測しているツヴィッキー・トランジェント・ファシリティによって最初に発見された。
その結果、太陽1,000兆個分以上の光が発生した。
「今年のバレンタインデー」「私達は不可解な光源を発見しました」
「それは奇妙なものでした」
「そして、奇妙な事は」
「科学において良い事です」
「それはあなたが、そこから」
「学ぶ事ができるものである事を」
「意味します」
この現象を詳述した2つの論文の内の1つの主執筆者であるメリーランド大学のイゴール・アンドレオーニ教授は、The Vergeにこう語っています。
天文学者達は直ぐに望遠鏡をバーストに向け、X線や電波、その他の波長で観測した。
これは短時間の内に行われました。
それは、ガンマ線やX線望遠鏡で観測されるガンマ線バーストと呼ばれる閃光の様なもので、非常に明るかったのです。
しかし、光学望遠鏡がこれを拾っていたのです。
天文学者達は、この閃光が非常に明るいのは、星が引き裂かれたからに違いないとの結論に達しました。
銀河の中心にある超巨大ブラックホールに近付き過ぎた星が、重力で引き裂かれたのだ。
「星を完全に引き裂いてしまうのです」
「文字通り」
「一緒に立っていられなくなるまで」
「引っ張られ、引き伸ばされるのです」
と、アンドレオーニ教授は説明した。
天文学者は、過去数年間、この様な潮汐破壊と呼ばれる現象を数多く観測してきた。
この現象は、強力なエネルギーのジェットを発生させ、物質がほぼ光速でブラックホールの極から放出されたという点で例外的でした。
「何故かは判りませんが」
「星が破壊された時に」
「非常に強力な物質のジェットが」
「発射される事があります」
と、述べています。
地球に向かって直接噴射される為、より明るく、より広い電磁スペクトルの範囲で見える事から、このジェットは特に明るいと推定されています。
天文学者は、この様な顕著な過渡現象を発見する為に、できるだけ多くの空を継続的にスキャンし、予期せぬ明るさの変化をユーザーに警告するツヴィッキー・トランジェント・ファシリティの様な望遠鏡を必要としているのです。
しかし、最も興味深い天体を見つけるには、毎晩何百もの明るさの変化が検出される為、この山の様なデータを精緻化する必要がある。
アンドレオーニ教授のチームは、このデータを元に、光の波長の中で極めて短時間に発生する現象を探っています。
超新星爆発や中性子星の合体等が、急激な明るさの変化の原因になっている可能性があります。
しかし、どの様な現象が起きているのかを知るには、更に多くの観測が必要です。
例えば、超新星は数週間かけて明るくなりますが、これは天文学的に見ても非常に早い現象です。
しかし、この現象は、数時間から数日後に、それよりも更に早く光り輝くのです。
その結果、緊急の重要性を持つ様になったのです。
そこで、このフレアについて科学界に警告を発するとともに、電波望遠鏡やX線望遠鏡を使っている研究者にも観測を呼びかけた。
その結果、合計21の望遠鏡からデータが提供されました。
「パズルの全てのピースを取得し」
「一緒に入れて」
「この絵は丁度驚くべきであった浮上した」
「我々は、このような珍しい天体を」
「見付ける事を期待していませんでした」
「間違いなく光学系ではありません」
と、アンドレオーニ教授は述べています。
以下のビデオをご覧ください。
宇宙の半分以上を占めるブラックホールが、光速に近い速度で物質を噴出している。
ブラックホールによって消滅する星の内、1%程度だけが信じられないほど強いジェットを発生する様ですが、その理由は未だ判って居ません。
星が分裂する時にエネルギーが光に変換され、その構成部分がブラックホールに向かって内側に引き寄せられる。
或る説によると、ブラックホールの磁場とスピンが結合して、まるで絵の具のチューブが絞られて、どちらかの端から物質が飛び出す様に、ブラックホールの極から物質がはじき出される可能性があるそうです。
「私達は、地球の何千倍もの質量が引き離され」「回転し、光速に近い速度で放出される事を」
「話しているのです」
「地球上では再現不可能な事を研究する」
「本当に、ユニークな機会です」
と、アンドレオーニ教授は語った。
この様なジェットが、電磁スペクトルの可視光領域(光学波長とも呼ばれる)で観測されたのは今回が初めてです。
これまで、ブラックホールからのジェットは、電波やガンマ線、X線等の観測によって、発見されてきました。
この事は、光学的な波長域で観測する事が、将来、この様な異常現象を発見する為の貴重な技術になる事を示しています。
又、ブラックホールを取り巻く環境についても、光学的な光を通す事で、それほど高密度ではない事を示す情報を天文学者に提供しています。
望遠鏡の設計や計画における柔軟性の向上も、この様な事象に迅速に対応する必要性によって推進されています。
ハッブル望遠鏡や、ジェームス・ウェッブ望遠鏡の観測時間を申請する研究者の数は、収容可能な数を遥かに超えています。
その為、何年も前から計画的に観測時間を確保し、可能な限り観測時間を確保しています。
NASAが作った最も強力な宇宙望遠鏡をどこに向けるか、天文学者はどの様に決定したのか。
しかし、数時間、或いは数分単位で異常事態に対応できる望遠鏡が求められているのも事実です。
Zoo Gems - ハッブル宇宙望遠鏡が銀河系動物園を再現。
ハッブル宇宙望遠鏡や、ジェームス・ウェッブ宇宙望遠鏡は、宇宙望遠鏡の方向を迅速かつ安全に変更する事が困難な為、この種の研究には散発的にしか寄与していません。
しかし、GROWTH-India 望遠鏡や MASTER ネットワークの様な最近建設された地上望遠鏡は、ガンマ線バーストを探す為に空をスキャンし、迅速かつ自律的に移動して見る事ができる専門家です。
更に、人間が介入する事も常に選択肢の一つです。
「時には、文字通り人を呼び出して」
『ちょっと、この座標か』
『この座標に望遠鏡を向けてくれない?』
「と、言わなければならない事もあるんだ」
と、アンドレオーニ教授は、述べています。
また、研究者がオンラインプラットフォームを通じて、都合のよい時間帯に観測を行うよう依頼することもあります。
この様に、一瞬ではあるが科学的に重要な事象に対して、望遠鏡がどの様に反応するかという疑問は、増々顕著になってきている。
アンドレオーニ教授によれば、このブラックホール観測の進歩は、様々望遠鏡を使う科学者の世界的な協力と、それらの望遠鏡の迅速な応答があったからこそ可能になったのだという。
「これは、この種の発見にとって」
「極めて重要なことでした」
「もし、どんな望遠鏡でもできなかったら」
「こんな大発見の上に乗って居る事に」