日本の研究:脊椎の不均衡は認知障害と密接な関係がある。
更新日 2022年9月20日

背骨の不均衡の程度が、高齢者の認知能力と強い相関があることが、日本の研究で明らかになった。(写真提供:Diane Serban)

 

猫背の弊害というと、体型やイメージを連想される方が多いと思います。

 

しかし、新たな研究により、猫背は認知能力の低下と密接な関係があることが明らかになりました。

 

日本の研究チームは、背骨のアンバランスの程度が高齢者の認知能力と強い相関がある事を明らかにしました。

 

この研究結果は、5月に、Nature誌のオンラインジャーナル「Scientific Reports」に掲載されました。

 

一般高齢者の健康診断における背骨の姿勢評価による認知機能低下の検出

信州大学の研究者らは、50~89歳の411人を対象に募集しました。

 

この中には、男性202名、女性209名が含まれています。

 

研究参加者は様々な年齢層に分けられ、認知評価と簡単な精神状態テストが行われた。

 

また、SVA(Sagittal Vertical Axis:身体の垂直方向の位置関係)を測定し、SVAの値が高い程、脊柱変形が深刻である事を示唆した。

 

詰り、真っ直ぐ立って居るか否かか、立っていない場合は、どの程度猫背になっているかを調べたのです。

加齢と共に重心が前に移動し、骨盤に対して上半身が前方に突出する事がよくあります。

 

これをSVA前彎という。 

 

SVA前彎は高齢になる程、悪化するのが普通ですが、背骨のアライメントの悪化と認知機能の低下にも相関がある事を発見したのです。

 

詰り、猫背は認知機能の低下と相関があるのです。

この研究論文は「年齢が高い事、及び/又は、SVA前方化が進んで居る事が、認知機能の低下と有意に関連する事が観察された」と結論付けています。

「男性では、脊椎バランス前方化は」

「年齢とは無関係に認知機能低下と関連し」

「年齢とSVAの組み合わせでも」

「有効な認知機能低下判定が可能であった」

 

「男性の場合、どの年齢でもSVA≧100mm」

 

「70歳以上でもSVA≧90mm」

「80歳以上でもSVA≧70mmは」

「いずれも、その値以下の場合より」

「認知機能低下が起こり易いとした」

 

「女性の場合、年齢に関係なく」

「SVA≧70mmの場合に」

「認知機能の低下がみられた」

 

「従って、脊椎バランス前彎は」

「地域在住の高齢者において」

「潜在的な認知機能低下の」

「目に観え易い指標と見做す事ができる」

研究者らは、脊椎のアンバランスは、運動機能の低下を示すだけでなく、認知能力の低下も示しているという仮説を立てた。

研究者らは、軽度の認知機能低下は気付かれない事が多いことを指摘している。

 

この研究により、認知機能の低下は、放射線学的アプローチを用いた矢状面の脊椎バランス評価によって確認できるかも知れないという希望が生まれました。

 

脊椎バランスの前方化等の目に見える手懸りがあれば、認知症に繋がる認知機能低下の兆候をより容易にモニターすることができる。

研究者らは、高齢者が虚弱や認知症を予防する為に、目に見える外観上の姿勢の変化が生じた場合には、医師の診断を受けるよう注意を促している。