イラン、核開発計画の新たなステップを発表
テヘランが初の「国産」研究用原子炉を建設すると同国副大統領が発表

2022年7月28日

2022年4月9日、首都テヘランで開催された第16回「原子力技術のナショナルデー」のイベントで演説するイラン原子力機関(AEOI)のモハマド・エスラーミ長官。© HO/イラン大統領府/AFP=時事

 

イランは、イスファハン市近郊に国産の新しい原子炉を建設すると、同国副大統領兼国家原子力機構長のモハマッド・エスラミ氏が2日、述べた。

イスファハン核施設にあるウラン転換施設(UFC)を訪問した際、記者団に対し「今後数週間の内に研究炉の建設を正式に開始する予定である」と述べた。

1980年代に建設されたイスファハン原子力技術センターは、イラン中部にある国内最大の原子力研究施設である。

 

UFCの他、中国製の研究用原子炉数基、燃料製造プラント等、核関連の重要インフラを保有しているとされる。

エスラーミ氏によれば、この「完全国産」建設プロジェクトは、イランが最終的に原子力エネルギー生産チェーンの全容を把握するのに役立つという。

 

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6月25日、エスラーミ氏は、イランが初の国産原子力発電所の建設を開始したと発表した。

 

同国には現在、ブシェール原子力発電所(BNPP)という稼働中の原子炉が1基あるが、これは1970年代にドイツ企業によって始められたものの、ロシアによって2010年代になって完成したものである。 

イランは、ドナルド・トランプ前米大統領が2018年に「包括的共同行動計画(JCPOA)」からの一方的な離脱を決定して以来、徐々に核プログラムを強化している。

テヘランと米国、英国、ドイツ、フランス、ロシア、中国の6カ国グループが2015年に署名したJCPOAは「イラン・ディール」とも呼ばれ、イスラム共和国は制裁緩和と引き換えに核の野心を大幅に抑制することに同意していた。

 

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しかし、米国がこの協定から離脱した後、直ちにそれ迄の制裁措置を再開し、その後、イランに対して新たな措置も導入した為、テヘランはウラン濃縮の制限を含むJCPOAの一部の遵守を停止するようになった。

米国のジョー・バイデン大統領は、この協定を復活させる意向を明らかにしたが、協定を守る為の努力はまだ具体的な成果を見せておらず、ワシントンとテヘランは、進展がないのは誰のせいかと互いに指弾し合っている状態である。

 

イラン政府関係者は、ワシントンは元の合意に戻り、制裁を全面的に解除しなければならないと主張し、米国はイランが協議中に新たな要求を持ち出してきたと主張している。

イランは長い間、核開発は平和目的であると主張してきたが、最近の核活動の活発化は西側諸国に懸念を抱かせている。 

7月中旬、イランの最高指導者ハメネイ師の上級顧問が、イランには核爆弾を製造する技術的能力があるが、まだそれを行う政治的決断をしていないと主張したのである。