(1)安倍氏葬儀「国葬」実施を表明

 

岸田文雄首相は14日、記者会見し、参院選の応援遊説中の今月8日、銃撃され死亡した安倍晋三元首相の葬儀について「国葬」を行うと表明した。会見の詳細は次の通り。


【安倍晋三元首相】

(今月10日)日曜日(投開票)の参院選において、与党は安定した政治基盤を確保することができました。

 

新型コロナウイルス、(ロシアによる)ウクライナ侵略、世界的な物価高騰。世界にも、日本にも、数十年に一度しか起こらないような事態が、重なり合って起こり、突きつけられています。

私は今回の選挙結果はこうした「戦後最大級の難局」から「日本を守り、未来を切り開け」との国民の皆さんからの「叱咤(しった)激励」であると厳粛に受け止め、重大な責任を感じております。

 

今回の選挙では、遊説中の安倍元首相が卑劣な暴力により命を落とされるという衝撃的な事件がおこりました。改めて、安倍元首相に哀悼の誠をささげます。

安倍元首相におかれては、憲政史上最長の(第1次政権と第2次政権で通算)8年8カ月に渡り、卓越したリーダーシップと実行力をもって、厳しい内外情勢に直面する我が国の為に、首相の重責を担った事。

 

東日本大震災からの復興、日本経済の再生、日米関係を基軸とした外交の展開など、大きな実績を様々な分野で残された事等、そのご功績は誠に素晴らしいものであります。

 

外国首脳を含む国際社会から極めて高い評価を受けており、又、民主主義の根幹たる選挙が行われている中、突然の蛮行により逝去されたものであり、国の内外から幅広い哀悼、追悼の意が寄せられています。

こうした点を勘案し、この秋に「国葬儀」の形式で、安倍元首相の葬儀を行うことといたします。

 

「国葬儀」を執り行う事で、安倍元首相を追悼すると共に、わが国は暴力に屈せず、民主主義を断固として守り抜くという決意を示してまいります。

 

あわせて、活力にあふれた日本を受け継ぎ、切り開いていくという気持ちを世界に示していきたいと考えています。

政権運営や憲法改正、拉致問題などについては先日の自民党総裁会見で基本姿勢を申し上げました。

 

本日は、国民の生命や暮らしに直結する足元の喫緊の課題について、今後の政策展開を説明します。


【新型コロナ対応】

第1に新型コロナ対応です。今週伺った専門家のご意見も踏まえ、お話しいたします。

新型コロナの感染が全国的に拡大しており、若者を中心に全ての年代で感染者が増えています。

 

新たな変異種(オミクロン株の派生型)「BA.5への置き換わりが進む中で、更なる感染拡大に最大限の警戒が必要です。

 

他方、政府・自治体ではこうした状況が起こりえる事を想定し、強化してきた医療体制を維持しています。

感染者数は増えていますが、今の処、重症者数や死亡者数は低い水準にあります。

 

病床使用率も上昇傾向にあるものの、総じて低い水準にあります。

 

政府としては病床の確保、高齢者施設における療養体制の支援、検査体制の強化、治療薬の確保など医療体制を維持強化しながら、引き続き「最大限の警戒」を保ちつつ、社会経済活動の回復に向けた取り組みを段階的に進めてまいります。

私達は、これまで6回の感染の波を乗り越えてきました。その中で、日常生活・経済活動における感染防止への取り組み、科学的な知見の積み重ね、医療体制をはじめとする政府・自治体の取り組みなど、わが国全体として対応力が強化されています。

先ずは、強化された対応力を全面的に展開することで、新たな行動制限は現時点では考えていません

 

その一方で、社会経済活動と感染拡大防止の両立を維持するためには、世代ごとにメリハリの効いた感染対策を更に徹底していくことが必要です。

 

特に、重症化リスクのある高齢者を守ることが重要です。

 

カギとなるワクチン接種は、現在4回目の接種が着々と進んでいます。

 

4回目接種には5カ月の接種間隔が必要であることから、7月~8月にかけて多くの方々が接種時期を迎える事となります。

 

高齢者施設での接種促進など、対象の方々にできるだけ早く接種いただくための取り組みを進めます。

又、その間、高齢者などリスクの高い方々を守り、医療提供体制の人員を確保する為、関係審議会に諮った上で、全ての医療従事者及び高齢者施設の従事者、約800万人を対象として4回接種を行う事とします。

 

自治体と連携し、明日から準備を始め、来週以降、速やかに接種を進めます。

若い世代の皆さんには、ワクチン3回目の接種を重ねてお願いします。

 

現在お住まいの場所でも、また帰省先でも、接種できますので、積極的にご検討ください。

 

現在、10代~30代など若い世代を中心に感染者が急増しています。

 

若い世代の約8割の皆さんが2回目接種を終えていますが、3回目接種率は3割~5割台に留まっています。

若い方であっても、重症化したり、倦怠感などの症状が長引いたりする可能性があります。

 

3回目のワクチン接種は皆さん自身を守るだけではなく、家族、友人、高齢者など大切な方を守ることにもつながります。

 

ご理解とご協力をお願いします。

 

これから夏休みを迎え、世代間での交流も増えます。

 

帰省前などには全国約1万3千箇所の無料検査拠点で検査を受けていただけるほか、主要な駅や空港などで100カ所以上の臨時の無料検査拠点を整備します。

国民の皆さんには手指消毒、室内で話す時のマスク着用などの基本的な感染対策へのご協力に感謝申し上げます。

 

重ねてのお願いになりますが、特に、この夏は冷房で篭りがちになる室内・飲食店内での十分な換気をお願いいたします。

こうした足下の感染拡大への対応策について、明日、政府対策本部で決定いたします。

 

国民の皆さんのご協力をいただき、感染防止と社会経済活動の両立に心を砕きながら、しっかり対応していきます。