亜鉛が免疫力を高める仕組み
2021年10月22日(金) by:ニュース編集部Tags: alternative medicine, antiviral, covid-19, goodhealth, goodmedicine, goodscience, health science, immune system, immunity, infections, natural health, natural medicine, nutrients, outbreak, pandemic, research, supplements, zinc
亜鉛は、病原体への感染を防ぎ、ナチュラルキラー細胞を媒介し、Tリンパ球を活性化し、マクロファージを制御し、DNA複製の中心となる等、免疫系の正常な発達と機能に不可欠な栄養素です。
亜鉛が正常に機能する為に必要な酵素は少なくとも300種類あります。
亜鉛は、細胞内でのウイルスの複製を阻害し、呼吸器系の繊毛の成長と機能をサポートし、呼吸器上皮のバリアを改善する事で、コロナから体を守るのに役立つという証拠があります。
風邪はコロナウイルス
米国疾病管理予防センターは、風邪などの上気道疾患の原因となる一般的なヒトコロナウイルスを幾つか特定しています。
一般的なヒトコロナウイルスは、通常、一般的な風邪の様な軽度から中等度の上気道疾患を引き起こします。
殆どの人は、人生のある時点でこれらのウイルスの1つ又は複数に感染します。
この情報は一般的なヒトコロナウイルスに適用され、2019年のコロナウイルス病(以前は2019年の新規コロナウイルスと呼ばれていました)と混同しないでください 。
風邪は通常、軽い症状ですが、毎年、医師の診察を受ける原因にもなっています。
風邪は1週間程度の短い期間で終わることもありますが、子供や高齢者の場合は長く続くこともあります。
風邪の症状としては、頭が詰まったり、鼻水が出たり、のどが痛くなったり、頭痛がしたり、時には熱が出たりします。
これらはインフルエンザの症状と同じですが、症状が悪化する事が多く、発熱や体の冷え等が見られます。
亜鉛が必須ミネラルとして、認識される様になったのは、1970年代のアナンダ・プラサド博士の研究が切欠でした。
その10年前、プラサド博士は、エジプトで育ち、通常の身長に達しなかった若者達を研究していました。
亜鉛を補給した処、彼らは「著しく身長が伸びた」というのです。
1970年代に入ると、亜鉛は健康に欠かせないミネラルであることが米国科学アカデミーで認められました。
Prasadは、ミシガン大学の科学者と共同で、亜鉛が免疫に影響を与えることを実証しました。
過去10年間の研究により、亜鉛が上気道感染症の期間と重症度を抑制するのに重要な役割を果たしていることが明らかになりました。
2017年に発表されたメタアナリシスによると、風邪の症状が出始めた時期に、毎日80~92mgの亜鉛サプリメントを摂取した人は、風邪の期間が33%短縮された事が判りました。
これ迄の研究では、亜鉛が免疫系や風邪のウイルスによる上気道感染を短くする事に大きなプラスの効果がある事が示されてきましたが、2020年の更なる研究では、亜鉛は免疫系の機能に極めて重要であり、欠乏は、コロナの重症化した人に関連している可能性がある事が明らかになりました。
免疫系の発達に欠かせない亜鉛
1970年代以降、科学者達は亜鉛に関する幾つかの事実を発見し、亜鉛が免疫系において中心的な役割を果たしている事を明らかにしました。
免疫系は、体の最初の防御線です。
感染症や傷の治療、慢性疾患の治療など、免疫系は非常に重要な役割を果たしています。
研究者達何十年もかけて、免疫系の機能を向上させる為の様々な方法を研究してきました。免疫系のサポートには栄養素が重要な役割を果たしますが、その栄養素の一つに亜鉛があります。
Front Line COVID-19 Critical Care Allianceによる早期治療や外来治療には亜鉛が含まれていますし、Vladimir Zelenko博士が推奨・処方するプロトコルにも亜鉛が含まれています。
ゼレンコ博士は、世界中の第一線で活躍するプライマリ・ケア医の医療データをクラウドソーシングする為のウェブサイトを作成しました。
又、ゼレンコ博士の活動に賛同する学術関係者もおり、テキサス大学ではゼレンコプロトコルの歴史や引用文献を紹介したダウンロードページを開設しています。
ゼレンコとフロントラインの医師達は、亜鉛と免疫系の関連性についての知識を活かして、成功したプロトコルを開発しました。データが示しています。
- 亜鉛が不足している人は、皮膚バリアを介した場合も含めて、病原体に対する感受性が高くなります。
- 亜鉛は、ナチュラルキラー細胞や好中球などの非特異的な免疫を媒介します。
- 亜鉛が欠乏すると、Tリンパ球の活性化、Th1サイトカインの産生、Bリンパ球の働きが阻害されます。不足している間は、Bリンパ球の発達も損なわれます。
- 不足すると、マクロファージ細胞の機能に影響を与え、サイトカインの産生や細胞内死の調節障害を引き起こします。
- 亜鉛は、DNAの複製、RNAの転写、細胞の活性化と分裂に中心的な役割を果たす。
亜鉛がコロナからの保護に役立つという証拠
キャンベル氏は、亜鉛がコロナから体を守るのに役立つ幾つかの機能について説明していますが、その中には、ウイルスが細胞に侵入するのを防ぐ働きも含まれています。また、亜鉛は、気道で微生物やゴミを上下させる呼吸器系の毛様体毛の成長と機能をサポートします。毛様体毛は、ボートの漕ぎ手の様に同期したビートで動きます。上皮バリアとは、呼吸器を覆う「皮膚」の事で、空気中の粒子や微生物に常にさらされています。サイトカインとは、免疫系に侵入者を知らせる狼煙の様な働きをするタンパク質です。このサイトカインが減少すると、免疫学的な障害が生じます。
インターフェロン-ガンマが抗腫瘍機構としての役割を果たして居るか否かについては、まだ結論が出ていませんが、幾つかの研究では、特定の癌の患者の生存率に良い影響を与えることが示されています。
2020年までに聞いた事があると思いますが、亜鉛は細胞内のウイルスの複製にも直接影響を与えます。
亜鉛について知るには、ジョン・キャンベル博士がYouTubeで公開している短いビデオが最適です。キャンベル博士は、亜鉛と免疫系との関連性を科学的に検証し、コロナ感染症が重症化する生物学的根拠の一つが亜鉛であるとの見解を示しています。
キャンベル博士は、亜鉛が細胞内に及ぼす影響について、RNA依存性RNAポリメラーゼ(細胞内でのウイルスの複製を助ける為、しばしばレプリカーゼと呼ばれる)の作用を低下させる事等を説明しています。
亜鉛の欠乏は複数の健康状態と関連があるキャンベル博士が指摘する様に、亜鉛が不足すると、免疫系に大きな影響を与えるだけでなく、炎症性サイトカインによる炎症反応が亢進してしまいます。従って、亜鉛が不足すると、ウイルス感染が増えるだけでなく、これらが引き金となって炎症反応が亢進してしまうのです。
キャンベル博士は、亜鉛不足に関連する多くの疾患が、コロナの併存疾患としても知られていると指摘します。これらの症状には次のようなものがあります。
- 動脈硬化症
- 自己免疫疾患
- 気管支喘息
- 癌
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
- 糖尿病
- 利尿薬の服用
- 高齢
- 免疫抑制
- 腎臓病、肝硬変・損傷
- たばこ
- 肥満
亜鉛イオノフォアによる効果の向上
YouTubeに投稿されたMedCramの短いビデオの中で、Roger Seheult博士は、亜鉛イオノフォア(イオンが細胞膜を通過するのを助ける化学物質)が亜鉛の細胞内への取り込みを改善する事を示唆する説得力のある証拠を検討しています。
これは、ウイルスの複製を阻止する為の重要な要素です。セーホー氏の説明によると、亜鉛は細胞の脂肪壁を容易に通過する事ができませんが、ウイルスの複製を阻止する為には、細胞内に存在する必要があります。
その為には、幾つかの亜鉛イオノフォアが必要になります。このビデオでは、Seheult氏がヒドロキシクロロキンとクロロキンの役割について説明しています。
データ収集の結果、141人の治療を受けた患者の内入院したのは4人だけで、未治療の患者の内58人が入院しました。又、治療を受けた患者の内1人が死亡し、未治療の患者の内13人が死亡しました。
又、恐らく最も深刻なケースを除いて、亜鉛を細胞内に取り込む為に働く可能性のある天然化合物もあります。その結果、脂質膜システムに対するイオノフォア作用が確認され、これらのポリフェノールは細胞内の亜鉛レベルを上昇させ、亜鉛の生物学的作用に大きな影響を与える可能性があると結論づけた。
興味深い事に、ケルセチンは強力な抗ウイルス剤でもあり、ケルセチンとEGCGは3CLプロテアーゼを阻害するという利点もあります。『酵素阻害と医薬品化学誌』に掲載された2020年の研究によると、SARSコロナウイルスを阻害する能力は『場合によってはSARS-CoV 3CLproの活性を抑制する事に直結していると推定される』という。亜鉛ビタミンは銅の不均衡を誘発する可能性がある亜鉛の欠乏は珍しいことではありません。専門家によると、世界人口の約17.3%が不足していると言われており、65歳以上の殆どの人が亜鉛の推奨量の50%しか摂取していないと推定されています。
あなたの体がもっと亜鉛を必要としているかも知れない4つの一般的な兆候。
- 食欲が無い
- 精神的な無気力
- 味覚や嗅覚の衰え
- 頻繁に風邪・インフルエンザ・又は感染症に罹る
- 抜け毛
口腔内味覚検査は、通信販売の研究所で自宅で行うことができますが、必ずしも信頼できるものではありません。亜鉛欠乏症のリスクがある人は以下の通りです。
- 栄養失調の人
- 高齢者
- 炎症性疾患や自己免疫疾患のある人
- ベジタリアンやビーガンの人
初期の亜鉛欠乏症は、医師が治療するような症状が出ない不顕性疾患であることがほとんどですが、免疫系に影響を与えます。思わず亜鉛を補給したくなるかも知れませんが、体は銅、鉄、クロム、亜鉛などの微量ミネラルのバランスを複雑に保っている事を知って置きましょう。バランスをとる為には、本物の食品からミネラルを摂取するのが一番です。
病気などで亜鉛が不足する場合はサプリメントで補う必要があるかもしれませんが、1日の必要量を食品から摂取する事をお勧めします。
- アラスカ産タラバガニ
- 牡蠣
- キドニービーンズ
- 羊肉
- グラスフェッドビーフ
- チェダーチーズ又はスイスチーズ
- マッシュルーム
- ほうれん草
- かぼちゃの種
- 豆腐
※追記
亜鉛サプリメントを摂るべきか?
- 殆どの人は亜鉛サプリメントを必要としません。
- 但し、亜鉛サプリメントは亜鉛欠乏症の治療に使用できます。
亜鉛を含むトローチは、風邪の長さと重症度を軽減するのに役立つ場合があります。
亜鉛の摂取量が多過ぎると下痢を引き起こし、銅や鉄などの必要な他の栄養素を妨げる可能性がある為、サプリメントを摂取する前に必ず医師または薬剤師に相談してください。