食パンのグリホサート残留調査
 



最近人気の食パン。その原材料の多くは輸入小麦です。

第1報で小麦粉からグリホサートが検出されることがわかりました。

ではその小麦を使って作られ、売られる市販の食パンの実態はどうなのか、

調べてみました。 2019年4月12日 公開

 

◎はじめに


 

2019年3月10日に公開した「小麦製品のグリホサート残留調査1st」で、全粒粉、薄力粉、強力粉などの小麦粉からグリホサートが検出されることを報告してきました。

私たちの身の回りには、小麦粉を利用した製品が数多くあります。小麦粉で検出が認められるのであれば、製品でも検出される場合があると考えられます。そこで、その実態を探るために、市販の食パン製品を購入し、製品中にグリホサートの残留が認められるかを調査しました。その結果、国産小麦を使用している製品および有機栽培小麦を使用している製品以外のほぼ全てでグリホサートが検出されました。

なお、小麦でグリホサートがなぜ検出されるのかなどの背景や詳細な情報については、前回の「小麦製品のグリホサート残留調査1st」を参考にしてください。

◎分析方法などについて


検査試料は、2019年3月から4月にかけて市販の製品を購入しました。
 

◆試料は、食パン13製品で、国産小麦を使用していることが記載されているものが3製品、JAS有機栽培小麦を使用しているものが1製品、特に産地の記載がないものが9製品となっています。また、全粒粉を使用している製品が4製品(いずれも産地の記載はなし)でした。


今後の調査の参考試料として、菓子パン2製品も検査を行いました。

この商品に、小麦粉産地についての記載はありませんでした。


グリホサートの残留検査は、高速液体クロマトグラフ質量分析計を利用した弊センター開発のグリホサート試験法で実施しました。検査対象成分は、グリホサートおよびその代謝物AMPAとなっています。本試験によるグリホサートの定量下限値は0.01ppm、AMPAは0.05ppmとしました。試験系はガラスフリー、極力メタルフリーで行っています。


●LC/MS/MS法の条件について
高速液体クロマトグラフ質量分析計:島津製作所製LCMS -8050
分析カラム:InertSustain C18(metal free column) 3um, 2.1x150mm
データ処理:島津製作所製LCMS Solution / Insight
定性・定量:MRM法

 

 

◎結果
表1に示すように、食パン9製品、菓子パン2製品からグリホサートを検出しました。また1製品からAMPAを検出しました。

なお、「痕跡」は、定量下限値以下、検出限界以上で検出があったことを示します。わかりやすく説明をしますと、本分析法で、残留は確認できるけれども、濃度が決められるほどの濃度ではなかったという意味です。食品衛生法上は、不検出と同等と扱われます。ここでは、参考として痕跡扱いの試料についても掲載しています。

表2 小麦製品のグリホサート残留状況調査結果 1st