頭が左、胸と骨盤は右
右尻に体重がかかり、左尻が持ち上がる
座った姿勢で、左手を頭の天辺に置き、左肘を左側に下げてみる。すると、頭はそれにつられて左に倒れる。
これを柔らかく何回も繰り返しながら、意識を胸(胸郭、胸骨、肋骨等)に持っていくと、胸全体が頭とは逆の右方向に動くのがわかるであろう。わかりづらいときは、右手を胸の前側のどこかに当ててみるとわかる。
頭は左に、胸は右に移動する。試しに胸を動かさないで、頭を左に持って行こうとすると、途端に頭の倒れ方が小さくなる。
もちろん、頭を倒す時、体幹も同じ方向に倒そうとすると、胸は頭と一緒に左に移動する。
これは頭と体感が一緒くたになっている状態であり、これを分化されていない(未分化な)身体の状態と言う。言い換えると、頭と胸が固まっていて、滑らかで繊細な動きができない状態である。
この状態では、首を横に倒しづらく、首だけを大きく倒そうとすると、固い筋肉を無理矢理引っ張ることになり、怪我をする。
さて、左肘を下げて頭を左に倒しながら、胸を右に持っていく動きを優しく繰り返していると、お尻(骨盤)もまた右に動く、右側のお尻に体重が乗り、左尻が浮いてくるのがわかってくるであろう。
つまり左肘が下がり頭が左に倒れる時、胸とお尻は右(あべこべ)に移動する。これが未分化の反対の分化された動きという。そして、胸とお尻の動きを意識して繰り返すことによって、頭はたくさん倒そうとしなくても、自ずとたくさん倒れるようになってくる。
分化と統合の完成だ。統合とは、バラバラ状態でお互い邪魔しあっている機能を一つのまとまった動きの状態に持っていくことである。身体のそれぞれのパーツが、お互いに邪魔をせず連携して助け合って動いている状態であり、筋肉の努力がより多く出力されている(動きに還元されている)状態である。
というわけで、頭を倒すには胸・骨盤の動きが主であり、首を主に使うのではないことがわかる。