麗子ちゃんがA先生門下になった経緯を聞いて、心底感動していると、
「あ、いたいた!もしかして会えるかなーと思って、一応いつもの場所、覗いてみたんだ!」
と、2人のレイコちゃんのもう1人、玲子ちゃんがやって来て、私と麗子ちゃんのテーブルに加わった。
タイミングよく2人のレイコちゃんが揃ったので、
自分が高名なA先生のレッスンを受けるなど、お門違いで、身の程知らずだということを最近知ったため、A先生に連絡する勇気が出ない。
だから、せっかく2人からA先生の連絡先をもらったのに気が引けて、まだ連絡をとっていないことを報告した。
そして5年生達に、A先生の門下は国際コンクールを目指すような20代になりたてのエリートしか入れない、と聞いたことを伝えた。
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すると、
「えー、そんなことないよ。日本の音大とか大学院とか卒業してきてる人達もいるから、門下には20代後半と思しき人達はたくさんいるよ。」
「確かに国際コンクールを目指して準備している人達もいるけど、そんな人は一部だよ。」
「ここの音楽院の卒業証書をもらうことが目的で、A先生の門下に来ている人のほうが多いよ。」
「だからその噂は嘘だよ!」
とのこと。
それから、関連科目のF先生に、A先生のことを聞いたら、この国で一番プライベートレッスンの値段の高い先生だと言われことを伝えると、
「この国で一番プライベートレッスン料が高い先生がどうかは知らないけど、確かにこの国では高い方なのかもね。」
「でもさ、日本の有名な先生にレッスンしてもらおうと思ったら1レッスン10万円とか珍しくないよ。
それを考えたら、全然安いよ。」
(注:これは今から十数年前の話で、私は直接知らないことを、聞いたまま書いているだけなので、この内容が真実かどうかわかりかねます。
また、もしこれが当時の真実であっても、今現在も正しいかどうかも分かりかねます。)
「そうそう、しかもコネとか紹介がないと、そういう先生方になかなか見てもらえない日本と違って、この国では、直接電話すれば、こんなすごい先生がすぐレッスンしてくれるんだよ。
すごくラッキーだと思わない?」
「音楽院でA先生の門下に入っちゃえば、音楽院の学費の中で、A先生のレッスン代も出る訳だから、どの先生の門下になったって学費は一緒じゃない。
そうしたら、プライベートレッスンの料金が高いがどうかなんて関係ないじゃない?」
などと言う。
そして、
「せっかくこの国に住んでいて、近くにA先生が住んでるんだから、電話してみて!
すごーくいい先生だよ!」
「3人で一緒の門下になれたらいいよねー。」
と、件の5年生達とは打って変わって、あくまで前向きなアドバイスなのである。
それは、
まだ18歳という初々しい年齢のせいなのか、
若くても夢を叶えて来ている人達のせいなのか、
人柄が純粋無垢だからなのか、
おそらくその全てだったのだろう。