ピアノって、そんな陰険な世界なんだ、と強烈なカルチャーショックを受けた私だったが、私の半分の年齢とは言え、音楽の世界を私より知っている彼女達の言うことである。


真実味があった。



あまり信じたくはなかったが、確かに先生に嫌われているような気は前々からしていたのだ。


ここの音楽院に入ってみてわかったのだが、音楽院というのは、若い子ほどエリートが多い。コンクール出場には年齢制限があるので、才能のある子達ほど、早めに海外にやってきて、本場でコンクールの審査員などの有名な先生の元で、コンクールの準備をするのである。


だから、アラフォーの私など論外である。


最初からそれはわかっていたのだが、想像以上にそうだったのである。


副学長があんなに私を入れたがらなかったのも無理もないのだ。


B先生も、私のようなアラフォーの学生を副学長に無理やり押し付けられて、面白いはずがない。


私はそもそも歓迎されるような学生ではないのである。


「どうしよう。」


と困っていると、持つべきものは友である、2人のレイコちゃんが、


「私達のA先生を紹介するから、A先生のレッスン受けて、アドバイス受けたほうがいいと思う。


場合によっては、先生を代わることも視野に入れたほうがいいよ。」


とアドバイスしてくれた。


先生を変わることもできるなんて、知らなかった私には、目から鱗のアドバイスだった。