【「新潮」掲載+書下ろし 1000枚。二十一世紀の黙示録、ここに完成!!】


愛、暴力、そしてミステリ。舞城史上、最大のスケールで描く最高傑作。

迷子捜し専門の米国人探偵・ディスコ・ウェンズデイ。
あなたが日本を訪れたとき、〈神々の黄昏〉を告げる交響楽が鳴り響いた――。

魂を奪われてしまった娘たち。
この世を地獄につくりかえる漆黒の男。時間を彷徨う人びと。
無限の謎を孕む館・パインハウス。
名探偵たちの終わり無き饗宴。




★⇒ディスコ探偵水曜日〈上〉


次々に現れる困難や疑問に懊悩するディスコの姿は、ミステリーや純文の狭間で懊悩している舞城自身に思えた。
所々に自作のタイトルをちりばめる手法に(物語の中ではそれらタイトルが結構重要な機能を果たしている)、今作によって作家として一

つの区切りのようなものを示したかったのかな、とも感じた。

または、キャリアの総括、みたいな。読了してから色々考えてるけど、それは作品の内容にではなくて、あくまでも舞城王太郎という作家

のスタンスに対して。読書をしてこんな気持になるのは初めて。

今までの舞城作品を期待するとちょっと「?」かも。舞城初体験者は絶対「×」だよ。

でも、確か去年の6月頃に一度今作の発売案内出てたよな~(無料と思いきや有料の冊子、『波』の巻末にちーっこくだけど)。
それをキャンセルしてまで書き下ろし加えるその姿勢が必死で本気で、良い感じ。下巻はまるまる書き下ろしだし。

下巻の章題は「方舟」。
連載当時、舞城自身書き進める中で収拾がつかなくなってしまったんじゃないかな。ほんとスケールでかすぎだから。
紙と文字で表すの不可能なくらいスケールでかい(実際やたら図説多い)。
それを救おうとして、リスク背負ってでも書き下ろさなきゃいられなかったんだろう。

妄想に過ぎませんが。あ、この話って大雑把に言って「救済」の話だよな……物語を作家が体現している!? 

妄想に過ぎないけどそう考えるとやっぱ凄い作家で、その労力と腕力に星5つです。次作に心底期待大。



★⇒ディスコ探偵水曜日〈上〉