○法律科目論文対策-総論
1.どのような観点で勉強するか
まず、法律科目試験は相対評価です。
いかに問題が難しかろうが、簡単であろうが、まわりと比べてできたかどうかで合否は決まります。
特に、法科大学院入試レベルでは、(七法に手が回っていない受験生が多く)、基本的な論点を知っているか、いないか、という次元である程度差がついてしまいます。
さらに、基本事項についての知識が欠落している時点で受験日を迎えてしまう受験生も多いので、そういうレベルでも差が付きます。
そんな馬鹿な、と思われるかもしれません。
しかし、司法試験受験生レベルですら、基礎知識の欠如を嘆く声が教員等から聞こえてくるのです。
その候補生に過ぎない法科大学院受験生であればなおさらです。
僕も今思えば相当あやふやな知識しか有していないレベルで受験しました。
結果、志望校には落ちましたが(笑)、それなりの法科大学院には受かりました。
もう少し、基礎を固める勉強をしていれば、と今は思います。
要するに、まず、基礎なのです。
2.法科大学院入試で要求される基礎
とりあえず周りに差をつけられないことが先決です。
たいていの法科大学院で倍率は2倍を切っているのですから全科目平均点取れれば余裕で合格できます。
そこで、まずは、予備校のいう重要論点について、条文・趣旨・判例を確認することです。
噂によると、市販の論証パターンを覚えるだけでも合格しうるのですが、入学後間違いなく苦労します。
丸暗記では、どういう配慮から、その論証が作られているか理解できていなからです。
なぜ規範が出てくるのか、あてはめのさいにどのような要素をなぜ考慮するのか理解できていなければ、未知の問題への対応力がガクっと下がります。
上位の法科大学院に合格するには、ある程度そのような力が必要だと思います。
そこで、まずは重要とされる論点について、
・なぜ、論点となるのか。
条文の文言不明確、結論が不当、条文の適用関係不明確等
・判例はどのような解決を図っているか。
判例はなぜそのような解決を図ったのか。
できれば条文の趣旨から結論を導けるようにする。
という点について学習していけばよいと思います。
まずは、と書きましたがこれを全科目・全論点について行えば簡単に時間は過ぎていきます。
僕は辰巳の趣旨規範本にまとめていました。すでにある程度形になっているものを使うことで、時間の短縮を図ったのです。
他にもいろいろやり方はあると思います。
また、僕は基本書で上記の作業をしていました
別に予備校本でもよいのですが、予備校本は学説の対立を機械的にしている部分があり、
なぜ学説が対立しているのかわかりにくかったりするのが難点だと思います。
あと、予備校本は情報が古かったり、一見すると論理が飛んでいてわかりにくかったりするので、参考にしつつも自分で補うようにしていました。
わからなければ先輩や友人に聞いていました。
ある程度学習できたら、学習済みの論点についてどのような事例で聞かれるのか演習してみればいいと思います(何も見ずに答案構成できるか)。
材料としては、広く浅くという観点からはロープラクティスなど基礎的な演習本が有益だと思います。
構成が終わったら、解説を読んでどの程度できていたか確認します。
根拠条文や意識した判例は間違っていないか、どのような論理構成か、結論は妥当か等々。
演習本の解説で解決できなければ、基本書に立ち戻って検討すべきです。
僕は以上の順でやりましたが、先に演習本をみてもいいかもしれません。
あるいは、演習本をつかって論点学習をしてもいいかもしれません。
実際、友人には演習本の解説を論点集替わりに利用している人もいました。
結局、基本的な論点について学ぶことが目的なので、それができるならやり方は何でもいいのです。
そして、全科目終わる前にタイムリミットが来たら、あきらめて論証パターンを丸暗記してしまいましょう。何も書けないよりもマシです。
法科大学院入試では、まず広く浅い理解が必要だと思います。
3.過去問検討
ここまでは、通常の論文試験への対策を書きました。
そのうえで、あるいは上記の勉強をするよりも早く、過去問の検討をすべきです。
法科大学院によっては特色ある問題が出題されているためです。
もっとも、近時は減少傾向にあるようですが。
また、法科大学院によっては、出題担当らしき教員の関心分野からの出題が目立ったり、種本らしきものが存在すると思います。
そのような情報は、予備校、あるいは先輩に聞くのが早いかと思います。
志望校と所属大学が異なる場合、苦労するかもしれませんが、その気になれば案外何とかなるものです。
検討に当たっては、友人とゼミを組んでもいいですし、教員に解説をお願いしたら案外引き受けてくれるかもしれません。
情報が少ないはずなので、できれば自分一人でやらないほうがいいともいます。
ある程度傾向がつかめたら、それに沿って対策していくべきです。
つづく
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