都内にA子と言う女性がいました。年は20代後半。A子の最近の悩みは職場の上司Bのストーカー行為でした。しかし、職場の上司ということもありA子は誰にも相談出来ずに困っていました。
ある日、仕事から帰る電車の中でA子はあまりに疲れていたせいかウトウトし、しまいには寝てしまいました。ハッと目が覚めるとA子がいつも降りる駅の一駅前に着く頃でした。悪い夢でも見たのかA子は汗びっしょり。すると、隣に座っていた男性が『随分うなされていましたよ。悪い夢でも見てたんじゃないですか?』と声をかけてきました。寝ぼけ眼で男性をよく見ると、それは上司Bでした。驚いたA子は座席から立ち上がり、その場から離れようとしました。するとちょうど電車が駅に着いたらしくタイミング良くドアが開いたのでA子は荷物を持って急いで電車を降りました。まわりを見渡すとどうやら上司Bは追いかけてきていないようなのでとりあえず『ふーっ』一息吐き、落ち着きを取り戻しました。A子は勢いで電車を降りてしまったけど、どうせ家まで歩いて1駅分なのでそのまま歩いて帰ることにしました。改札を出るともう随分遅いのか当たりは真っ暗。家まで帰るには線路沿いの道が一番近いので、街灯もポツポツとしかなく少し不気味ですが仕方なくA子はその道を少し早足で帰りました。すると、背後からコツコツコツコツ…と男性の革靴の音がします。そして、明らかにその音の間隔は早くなり、確実にA子に近づいているということに気がつきました。怖くなったA子は、後ろを振り返らずに走り出しましたが、時すでに遅く、その足音の男に後ろから首を絞められ気を失いました。ただ、薄れゆく意識の中で見たのは自分の首を絞めてほくそ笑んだ上司Bの顔でした。
ふと目が覚めると、白い天井が見えました。なんだ、これも夢か…とベッドの隣を見ると、そこにはA子の母親の姿がありました。母親の話によると、A子が襲われた時たまたま通り掛かりの人が助けてくれて救急車で病院に運ばれたこと、A子を襲った犯人はまだ捕まってないこと、ここは病院だから安心して良いということ知らされました。
ふと、A子は自分の担当医の書かれたプレートを見るとそこには上司Bの名前が書かれていました…
実は、A子が運ばれた病院は、普段A子が看護師として勤めている病院だったのです。そして、病室のドアの隙間からニヤリと笑う上司Bの姿がありました。そう、A子の悪夢はまだ終っていませんでした。