『百年法』上・下巻を読み終えました。
今日は上巻のあらすじと感想です。
ネタバレかなりあります。
不老技術は現在はありませんが、そのことを除けば
現在の日本が抱えている問題を描いているのでは
と思われる話でした。
先のことを考えず保身にはしったり、自分の利権ばかり
考える政治家や一部の官僚上層部にいたため、戦争に
負けた日本は、自力で他国と競争ができるような復興を
遂げることができなかったように描かれています。
これは、3.11後の政府の対応を彷彿とさせるもので、
このままでいったら、日本の競争力は落ちるところまで
落ちるという警鐘のように感じました。
この物語では、不老技術を導入するにあたっては、不老処置
を受けた者は処置後100年後に死ななければならいという
生存制限法(100年法)を成立、施行させることが前提となっていた。
100年法が確実に実施されなければ、世代交代による社会
の新陳代謝が促されず、日本はやがて滅ぶと考えられていた。
にもかかわらず政治家達は、100年法を予定通り施行したのでは
世論の支持を失うと考えたり、死にたくないと考える政治家や
財界人が出てきたことで、100年法を施行するかどうかを、国民投票
にかけることにしてしまう。
判断を国民に丸投げするとは。
死にたくないのは誰もが同じなのに、国民投票にかけたらどうなるか
分かるでしょ。
国家存亡の危機にあたって、国民に丸投げでいいのか?
現在の政府なら世論におもねってそういうこともあり得そうな気がして
のが怖い。
結果、百年法は凍結されることになる。
百年法が凍結された日本。
百年法が凍結されたあと、何故か自殺者と殺人が増えた。
この物語の設定は現在と同じく不景気、当然失業者が大勢いる。
失業者の多くは若者だ。
歳をとっても不老処置によって死なないし、働くことを辞めないから
若者が職を得る機会は極端に制限される。
若者たちは自分達のやり切れなさをデモという形で表すようになり
それはやがて暴動となり、全国で起こるようになり、時の首相は
非常事態宣言せざるえない。
百年法の凍結に問題があるのは明らかだったが、政治家達は
百年法が施行されると対象者になる者が多いことから、百年法の
議論は行わず、事態を収拾できない首相に辞任を求めるわけでも
なく、選挙が近いことから自身の保身にのみ汲々といていた。
ここでも、3・11後の権力闘争が思いおこされました。
そんな政治家達に怒る国民は、窮地から救い出してくれる人物
が現れるのを切望していた。
そこに担ぎ出されてきたのが牛島諒一議員。
百年法の凍結に反対して与党から離脱して新しい党を作った男
だった。
かつて100年法を施行するための準備室で室長を務めた
遊佐章仁は牛島を大統領にして絶対的な権力を持たせることで
100年法の施行をしようと画策する。
牛島が大統領、遊佐が大統領の次に権力のある首相となり、
100年法は無事施行されることとなる。
ただし、莫大なお金と大統領が特例として認めたものは、
100年法の適用を逃れることができることに。
長い間一人のものに権力が集中すると、初めは理想の実現を
目指していても、やがて私欲にはしるようになると感じました。
牛島大統領も遊佐首相も最初は国の為だったのでしょうが、
だんだん違う方向に走っているような。
下巻でどちらかの人物が修正軌道ということになるのですが
長くなったので、次回に続きます。
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