情報過多社会。アテンションエコノミー*とも言われる現代では、情報の多さが問題になっています。

これは情報オーバーロードという弊害をもたらします。情報オーバーロードというのは、情報に溢れ、選択に疲れた人間の脳が判断できない状態になってしまうことです。

ただ、人には面白いほどに非合理的な性質があります。
それは、人は選択肢が多くないと興味を示さないが、選択肢が多すぎると判断できなくなる。というものです。

 

なので広告(マーケティング)の段階での選択肢の打ち出し方と、お店での選択肢の出し方は変えることが大切です。
少しややこしい話なので、具体例を使ってお話しします。

 

 

あなたが居酒屋を経営しているとします。そこで集客としての売り文句に「100種類の地ビールが飲めます!」と書きます。こうすることで、「選択肢がたくさんあることが好き」だという人間の心理に刺さります。

一方で、お店のメニューにも100種類のビールから選べるという書き方をしてしまうと、人は情報オーバーロードに陥り選択できなくなってしまいます。

 

ここで使いたいのが「ナッジ理論」です。「ナッジ」というのは「ひじでつつく」という意味なのですが、簡単に言い換えると「人が選択しやすいようにおススメを提案してあげる」という事です。

ビールのメニューなら「度数ごとに分けたメニュー」を作ったり「気分に会ったビール」に分けてメニューを作ることも効果的です。

このような選択肢の示し方を「選択アーキテクチャ」といい、全ての企業が何らかの選択アーキテクチャを用いています。
難しい言葉に見えますが、要はどのように選んでもらうかを設計(アーキテクチャ)するという話ですからね。

 

 

分かりやすい例で言うと、ティックトックは「選ばせない」という選択アーキテクチャを採用しています。

大量にあふれた動画の中から、人々がどれが見たいかを選ぶことなんてできません。

そこを理解しているティックトックは最初から、選ばせるのではなくおススメの動画を流す。という方法を採用したという事ですね。
その結果現状維持効果も働き、人は溶けるまでティックトックを見てしまうという状態に陥ってしまいました。

 

ケンブリッジ大学のバーバラ・サハキアン教授の研究によると、人は一日3万5000回もの回数で、何かしら決断をしていると考えられています。

熟考した上での選択が必要なものには力を使い、どちらを選んでも大きく変わらないものについてはテキトーに決めるという事が大切なのかもしれません。

これからのAI時代で大きく動きそうな内容ですね。

 

それでは、良い選択アーキテクチャ-ライフを!

 

アテンション・エコノミー(関心経済・注目経済圏、英: attention economy):

情報の質よりも人々の関心や注目を集めた方が経済的利益が大きいことを指摘した経済学の概念である。SNSの普及によりアテンション・エコノミーがもたらす負の側面が問題視されている。

 

#選択アーキテクチャ― #ナッジ理論 #情報オーバーロード #アテンションエコノミー #行動経済学

 

参考文献:

アテンション・エコノミー(attention economy)とは 関連企業や最新ニュースも | NIKKEI COMPASS - 日本経済新聞

人は一日3万5000回の決断をする!!判断能力の低下から不動産取引のカウントダウン!!|ERA LIXIL不動産ショップ 八王子住まいる不動産

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