人には先のことは抽象的にしか考えられないという認知のクセがあります。

例えば、今1万円貰えるのと1年後に1万2千円貰えるのとだとどちらを選びますか?

多くの人は「今の一万円」を選ぶのですが、合理的に考えたら「1年後の1万2千円」を選ぶべきです。

これが1年後に1万2百円だと、更に今の1万円を選ぶ人が増えるはずですが、それでも合理的に考えたら1年後に1万2百円を選ぶべきです。

 

このように、人には先のことはあまり重要視出来ず、楽観視してしまうという癖があるんですね。そして、このクセはビジネスにおいて様々な面で大切になってきます。

 

キャンペーンの打ち出し方一つでもそうです。最近はオンライン広告も主流ですが、そこにはデザインだけではない根本的な行動経済学的な原則があります。

人は先のことは抽象的、直近のことは具体的に捉えるので、そのキャンペーンも打ち出すタイミングによって変えるべきということです。

半年後のバスツアーならその街のイメージや、休みの過ごし方の大まかなイメージを広告として打ち出すべきです。

反対に1週間後のバスツアーなら、ツアー内容や料金などの具体的な情報を広告として打ち出すべきです。

ここに、色や文字、写真やイラストの心理学的な効果を合わせればさらに良い広告となることは言うまでもありません。

 

 

ここまでは仕事に直接的に生きる内容でしたが、自己マネジメントにも大いに活用させることが出来ます。

僕は今は空間を作る現場での工程管理などをしているのですが、空間創りのプロでさえも、先の時間に対しての見積もりが甘いことが多々あります。

これは仕事のスピード感の問題だと思っていたのですが、先の時間のことは考えにくいという「現在思考バイアス」や「双曲割引モデル」という心理が働いていることが分かりました。

 

4カ月で完成するはずがない空間であっても、4カ月しっかりやれば作れるだろうと思ってしまうという認知のクセですね。

ただ、そのことを知ったからには対策をしないと意味がありません。長期的な時間について甘く見積もってしまう癖があるのであれば、その時間を分割して、それぞれのタスクにかかる時間を洗い出せば良いだけです。

4カ月の工事には10個の工事ポイントがある。それぞれに2週間はかかるから、工期は2週間×10で5カ月にしよう。などと考えられますからね。

 

時間に流されず、時間を使いこなせるように、時間に対する認知のクセは抑えておいた方がイイよね。というお話でした。

 

時間に関する癖に「デュレーション・ヒューリスティック」という面白いものがあるのですが、これは少し長くなりそうなので次の記事で。

 

それでは、良い双曲割引モデルライフを!

 

#双曲割引モデル #現在思考バイアス #解釈レベル理論 #計画の誤謬