人には「会計」に対しての考え方の癖があります。

同じ5000円が同じではなくなるような癖が。

いきなりですが下記の質問を読んでみてください。

 

 

【ケース1】

あなたは演劇を見ようと思い、劇場に出かけました。窓口で5,000円のチケットを購入しようとしたところ、あなたは財布に入れていた5,000円札をどこかで落としたことに気がつきました。あなたは新たに5,000円を払って、チケットを買いますか。(残金はチケットを買うのに十分あります)

 

【ケース2】

あなたは演劇を見ようと思い、5,000円のチケットを購入して劇場に出かけました。ところが劇場に入ろうとした時、あなたは持っていたチケットをどこかで落としたことに気がつきました。チケットを購入した座席がどこだったかはわからないし、チケットを取り戻すこともできません。あなたは新たに5,000円を払って、チケットを買い直しますか。

 

例題に示したのとほとんど同じ問題をそれぞれ200名ほどに出したカーネマンとトヴェルスキーの研究では、【ケース1】の状況でチケットを買うと答えた人は88%だったのに対し、【ケース2】の状況でチケットを買うと答えた人は46%でした。

 

つまり、チケットを買う用と認識していない5000円の価値と、チケット用と認識している5000円では人の中の価値が変わっているということです。

これを行動経済学の世界ではメンタルアカウンティングといいます。

 

これは非常に面白くて、まずは人は無意識のうちに「このお金は何に使うのか」を仕分けているということを知る必要があります。

その結果、仕分け先によってそのお金の価値は変わってしまいます。同じ金額なのにもかかわらず。

 

 

このほかにも、宝くじや競馬などで当てたお金は「収入」ではなく「臨時ボーナス」に仕分けられる傾向があります。
合理的に考えれば、そのお金は車のローンなどに充てるべきですが、非合理的な人間はそのお金を「焼肉」や「高級ワイン」に使います。

そして、そのことに対しては家族も誰も文句を言いません。これは面白いですよね。

 

なので、競馬場や競艇場の近くに「焼肉屋」などを出店するのは賢い手法だと思います。メンタルアカウンティングという思考の癖を利用したビジネスですからね。

 

僕の将来の夢はリゾートホテルを作ることです。そこにもこのメンタルアカウンティングをお落とし込めないかなと考えていて、一つ思いつきました。

 

ここでは2つのメンタルアカウンティングの考え方を使います。

一つは、人は無意識のうちにホテル代に”ある程度のもの”が含まれていると認識するということ。

なので、「ホテル代」に仕分けられていない「飲み物や」「食べ物」のお金を使ってもらうのには少しハードルがあります。

 

二つ目は、限定サービスのチケットを発行すること。

例えば、僕のホテルが1泊20、000円でやっていけるとします。

その際に、ホテル代を21,000円にし、「限定サービス」という名目で50パーセントの確率で2000円分のホテルチケットが当たるようにします。

その結果、お金の回収には問題ないですし、2000円分のチケットもホテルで使ってくれるので、結果はプラスです。

 

合理的に考えれば、そのチケットを売って2000円の現金を手に入れることもできますが、そこでは「現状維持バイアス」が働き、今あるものから変えるのはメンドクサイという思考が働きます。
#シンプルに面倒くさいし

※現状維持バイアス:現状維持バイアス(Status Quo Bias)とは、変化を避けて現状維持を求める、現在の状況よりも好転するとわかっていても行動できない心理傾向を指します。確証バイアスや同調性バイアスなどの認知バイアスの1つです。

 

このようにすることで、ホテル内でのお客さんの財布のひもを緩めることができ、ホテルのサービス・品質の向上につなげられます。

このような仕掛けはお客さんに対して話すことではないですが、僕がリゾートホテルを作るのは10年以上も先の話。

今は話していこうと思います。(笑)

 

という、メンタルアカウンティングのお話でした。

それでは、良いアカウンティングライフを!

 

#メンタルアカウンティング #アカウンティング #行動経済学 #リゾートホテル #心理学

 

参考文献

メンタル・アカウンティング | 意思決定・信念に関する認知バイアス | 錯思コレクション100

現状維持バイアス | 意思決定・信念に関する認知バイアス | 錯思コレクション100