いつも、ありがとうございます。アパレルに特化した人財会社インター・ベルの山口です。
売上の安定しているブランドと不安定なブランドを店頭のMD展開から比較検証すると、大きく違うのが前年踏襲MDの精度だ。
売上が安定して確実に稼いでいるブランドは8割方をしっかり前年踏襲MDで固めているが、不安定で失速しがちなブランドは前年踏襲MDが崩れて実績売れ筋が幾つも欠落している。
「前年踏襲MD」という指摘は本来、変化に対応しない保守的なMDを批判するものだが、後出し52週MDが蔓延するガラな業界では売れ筋を追って右往左往する結果、MDのストーリーが崩れて売上が不安定になる事が多い。
直近の売れ筋ばかり追ってはMDストーリーが崩れるのも当然で、却って顧客の期待を裏切る事になりかねない。
有力ブランドの顧客調査でもブランド支持の理由を『安心感』や『品揃えへの信頼感』と答える例が多く、『目新しい品がある』『トレンディだから』などという答えは少数派だ。
同じブランドなら毎月売れるアイテムや色は毎年、大きくは変わらない。
同じアイテムを如何に新鮮に味付けするかが問われるのであって、売れ筋を追って右往左往する事が求められているのではないだろう。
52週MD本来の意義も、前年実績をベースに組まれた計画MDの販売進行誤差を週単位に補正するもので、毎週のように売れ筋を後追い投入する仕組みではないはずだ。
ユニクロの52週MDなど、本来の在り方を徹底しているではないか。
売上を安定させる第一条件は、前年踏襲MDを固めて今年風の味をつけ、アイテム別の販売進行を計画と比較して毎週、補正対応すれば前年がクリア出来るMDストーリーを確立する事だ。
基本中の基本という鉄則だが、ガラな52週MDが蔓延する中で忘れられがちなのはもったいないと言うしかない。