アパレル通信  -侮ることなかれ食品売場- | ファッション業界転職 販売職専門人材会社インター・ビュー

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山口 芳明 の奮闘記

いつも、ありがとうございます。アパレルに特化した人財会社インター・ベルの山口です。


長年、アパレル業界に関わって来たがその鈍感さやミーハーさに失望させられる事が多く、とりわけ売場の構成や陳列演出については業界人の感性や美意識を疑わざるを得ない。


それに較べれば食品業界、とりわけスーパーマーケットやデパ地下の構成や陳列演出には学ぶ事が山ほどある。

まず第一にMDのスピード感が違う。


アパレル業界ではシーズン~せいぜい月度のMDサイクルを52週MDとかで汚く継ぎ接ぎするのに対し、食品業界では生鮮や日配の365日MDはもちろん、お弁当や生ケーキなど日に二配して廃棄している。


当然、デリバリーや陳列の入れ替えも日度あるいは日二度という超高速が定着している。

第二に鮮度演出のデリカシーが違う。


アパレル業界では素材別に照明を変えたりはしないが、食品業界では精肉、鮮魚、青果、パン、日配と照明を変えるのは常識で、色の見えかがりはもちろん、張り艶や瑞々しさまでデリケートに表現している。


クロス・マーチャンダイジングの多重露出VMDは常識だし、朝に入荷した白菜の表面が萎れて来る夕方には一枚剥ぎ捨て、販売進行の誤差を30分単位に検証してタイムセールを仕掛け、売れ残りの鮮魚は翌日の煮物焼き物に化けるなど、在庫運用の技も細かい。


それにくらべれば、アパレル業界は鈍感で運用が粗いと言わざるを得ない。

第三にバイヤーの目利きが違う。


アパレル業界では素材の混率や国単位の原産地表示に留まり、物を見て素材の産地や紡績・織布手法、縫製・編み立て手法を見抜くバイヤーは極めて限られるが、食品業界では素材の全成分表示はもちろん、県村単位の原産地表示が問われるし、物を見て産地や栽培・育成手法、漁法や物流手法を見抜く目利きのバイヤーも少なくない。


どちらの業界でも不当表示は絶えないが、アパレル業界では警告で済むのに対し、食品業界では下手をすれば逮捕まで行く。

健康に関わる分、真剣度が違うのだ。

食品売場はマーチャンダイジングはもちろん売場運営、陳列演出、在庫運用の宝の山なのです。


百貨店人は『世界の誰からも何一つ学ぶ事はない』などと豪語する前に、まず足下の食品売場から学ぶべきだし、自信を失いがちな量販店衣料部門人はデリカシーとテクノロジーの宝庫たる食品部門に教えを乞うべきだと思う。


余談ながら、カナダ版ユニクロたる「ジョーフレッシュ」が生鮮食品(フルーツ)のマーチャンダイジングに発想を得て人気を確立した事も付け加えておきたい。



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