おはようございます。山口です。
今日は、ある出会いのお話。
「世界にひびく韻律は 月照る限り朽ちざらむ」
日本を代表する名曲「荒城の月」を作詞した土井晩翠が作曲者の滝廉太郎を偲んだ詩の一節である。
1901年、滝は日本人男性初の音楽留学生としてドイツの音楽学校に入学するが、間もなく体調を崩し入院。
翌年夏、志半ばで帰国を余儀なくされた。
日本への途次、船がイギリス・テムズ埠頭に5日間、停泊した。
その折、偶然にもイギリス留学中だった土井が滝を見舞った。
翌年、滝が亡くなる。
「荒城の月」の作詞者と作曲者の出会いは一期一会となった。
冒頭の詩は、滝の40周年の慰霊祭に駆けつけた土井がテムズ埠頭での奇遇をうたったもの。
土井と滝の「荒城の月」は、月が照るたび人の心に美しく響きわたる。
静穏な韻律が、月を鏡として自身を見つめるよう、心に深く語りかけてくる。