人間は忘れっぽい。
防災対策を考える上でも、これは困った“人間の大法則”だ、と畑村洋太郎氏0は語る。
氏によると、忘れっぽさには「三」という数字がカギになるらしい。
「三日坊主」という言葉があるように、同じことを「三日」も繰り返していると、人間は飽きてしまうもの。
被災の記憶も「三年」「三十年」とたつうち、だんだん薄れ、「三百年」もすれば社会の中で、それは「なかったこと」になってしまうという(寺田寅彦『天災と国防』講談社学術文庫の解説から)
畑村氏は「失敗学」の提唱で知られる。
事故や失敗の事例を分析し、将来のために生かす学問だ。
失敗の責任を追及するだけでなく、皆が失敗の知識と教訓を共有していく。
それが創造的な社会を築く力になるからだ。
「忘れない」――運動エネルギーも、そこに生まれる。
労苦の汗を忘れない。
苦難を共に乗り越えた、仲間の笑顔を忘れない。
忘れない限り、縁ある人々は永遠に生きている。
そして、エネルギーとなる。