ファーストリテイリング国内ユニクロ事業の3~5月既存店売上は1.9%減と上期(10年9月~11年2月)の9.9%減から復調し、クールビズの神風に乗った6月は3.9%増と急回復している。
ファストファッションの勢いに幻惑されて短期開発のデザイン物を増やしたり、チノ人気を予測出来ずにジーンズに集中し、高機能高品質お手頃ベーシックという自らの本質から振れた昨年のユニクロは酷かったが、今年は本質に回帰してベーシックを再強化し、ようやくチノシフトも間に合って底を打ち、予測通り6月からは節電クールビズの神風に乗って急上昇に転じている。
ユニクロが本来のユニクロである限り、国民的需要は手堅いものがあるようだ。
そんなユニクロの『高機能高品質なのに安い』という原点的魅力を担保しているのが、グローバルSPAとしては例外的な原価率の高さだ。
決算書ではマークダウンなどした結果の売上に対する原価率しか判らないが、マークダウン率から逆算して当初価格に対する原価率を推定する事が出来る。
H&Mの当初原価率が25%程度、ODM依存国内大手カジュアルSPAのそれが28%程度なのに対し、ユニクロは自社開発・自社生産管理で巨大ロットなのに38%程度と極めて原価率が高い。
推計値だが他社とは大差があり、営業コストを抑えて『良い品が安い』という原点を忠実に守っている。
原価率を比較する限り、ユニクロが突出してお買い得なのは間違いない。
近頃は原価率を切り詰め宣伝費をかけてブランディングし、値引き販売で購買を煽る中国式ビジネスモデルが横行しているが、そんな怪しい商法とは一線を画する確かな存在意義がユニクロには認められる。
中国式ビジネスモデルの本場、中国でユニクロが品質のデフェクトスタンダードとなりつつあるのも必然であろう。
世界の何処でもユニクロはお買い得なのだ。
アパレルウェブより