私の父は、統合失調症でした。
私はそのことを、ずっと人に言えませんでした。
自分の夫にも、子供にさえも言えませんでした。
60歳の誕生日に、ついに
精神病院に運ばれて診断がついて
その5年後にガンで亡くなりました。
亡くなったときも、
ガンのことは誰にでも言えたのに
統合失調症を患っていたことは
誰にも言えませんでした。
私は、怖かったのです。
恥じていたのです。
「父が発狂した」と思ったあの瞬間の恐怖。
私はその気の触れた父の娘であるという恐怖。
誰にも知られたくなかった。
怒ると怖いけど、立派な存在である。
という父に、しておきたかった。
独房のような個室に閉じ込められた父を
見舞うことさえ、怖かった。
その病院に、入るところを、
知り合いに見られやしないかと恐れている自分がいて
その自分を、自分が軽蔑してもいて
なんて嘘くさいやつだと
世間体のほうを気にしてる自分を
認めることからも逃げようとして
父の名誉を守りたい、、、
いいえ、
自分の見せかけを傷つけたくなかったのです。
数ヶ月後にガンだとわかったとき、どこかホッとしてる自分もいて
私はひどい娘だった。
人でなしの、我が身かわいい、
本当に下衆な娘でした。
父が亡くなって15年。
ずっと、ずっと、隠してきた秘密を
先週、初めて、友達に話しました。
話すことができました。
私の父は、統合失調症だったの。
なんの気負いもなく、ただ事実を
まるで
私のお父さんて、左利きだったんだよ 、とか
私の父ね、実はジャイアンツ嫌いだったのよ
っていうみたいに、口にしてた自分。
友達は、
へぇー、そうだったんだ。
と言いました。
話は、それだけのことなんだけど
私の心の扉が、
重い重い扉が、少し開いた。
最初の一言が、言えた。
真っ暗だった秘密の部屋に押し込めていた私の一部分が
外に出た。
光の中に出た。
ああ、出してあげても大丈夫だったんだ!!
それができたときに
いろんなことが見えてきました。
怖くて怯えて頭を抱えてしゃがみこんで震えていた自分
誰か助けて!って叫びたいのに声も出せなかった自分
なかったことにして見なかったことにしてやり過ごすしかなかった自分
惨めで情けなくて人でなしだった自分が
たまらなくかわいそうで、可愛くて、
そんなに自分を責めちゃダメだよ、
あなたは一生懸命自分を支えてきたんだから。
初めて、自分を、心から、
褒めて、抱きしめてやれました。
そうして、
数日経って、気がつきました。
私の父は、統合失調症でした。
でも、素晴らしい父親でした。
私を、とても可愛がって、
大切に育ててくれたのです。
父が統合失調症でも、
私は、父との幸せな時間がいっぱいありました。
発作が起きているときの父は怖かったけれど
それは
優しい父の姿があったからこそ
怖かったことも感じられていたんだ、って
統合失調症だったけれども
私は
私たち家族は
決して、不幸ではなかったと
私は、そんなところもひっくるめて丸ごと
父親を受け入れて
愛して
愛を求めていたんだと
私の父は、統合失調症でした。
私はそのことをひどく恥じて、秘密にしていたひどい娘でした。
でも、今は
そんな父を
そんな自分を
心から愛しく思えます。
愛情は空気や水と同じ
呼吸をするように
川が流れるように
あまりにも当たり前だから
見えなかった。
私がこんなにも父を愛していたこと
父があんなにも私を愛していたこと
世界が 愛で 満ちていたこと。
ようやくわかった。
ありがとう。
今朝はいい日だ。