昔、演劇にはまってた頃、わざわざ引っ越してこの町に住んだ。ワンルームで、家賃高めだったけど、熱と刺激と愛があった。
近所の豚骨ラーメン屋ではいつもニンニクを潰してたっぷり入れて、懐かしのロックがかかる地下のバーは自分の聖域で、宮沢賢治の小説と同名の喫茶店でボサノバと出会った。小劇場で不思議なエネルギーを発散する無名劇団に元気をもらい、失恋した友達と今は無き飲み屋でジンを2本空けて、朝見知らぬ家のガレージで目が覚めた。下北沢はそんな町。
久しくご無沙汰だったが、昨年からライブでちょくちょく来るように。変わらぬ猥雑さと若いパワーに満ちていて、この町やっぱり好きだなあ。今夜の会場も、そんな下北らしい飾らぬ雰囲気のカフェで、「伝説のduo」(笑)、DIOのライブを肩の力を抜いて楽しんできたよ。
DIOは高校時代、クラスメイトだった廻田彩夏とまさき君が組んだユニット。5年ぶり再結成だとか。まさき君はマービーらとマワリーバンドも組んでおり、マワリーとは度々一緒にやってるから、息は合ってる。この日も、マワリーが彼女の人生の中でよく聞いてきたという曲を各5曲程度×3ステージ、格好良くギター伴奏決めた。
ドリカムやノラ・ジョーンズ、MonkeyMajic、広瀬香美、自分の「イチバン」、YEN TOWN BAND、「Stand By Me」などなど、次々と楽しそうに歌っていく。どの曲も耳に馴染んだヒット曲で、マワリーの1人カラオケ、オンステージ状態。
しかも、カフェの真ん中にアンプ置いて高めの椅子に腰掛けてステージにしてるから、目線も同じ高さ。お客さんともくだけた感じで会話しながらの進行に、ぐっと親近感が増す。
歌は予め順番決めてなくて、用意してあった楽曲から気分で次々歌ってく。上手く出だし歌えない「Let It Be」などは歌いかけて見送りにして(笑)、「次回にするね~」と苦笑い。でも、次回とは?
引退まで、ライブは予定が公開されてるのが残り3回。追加で、1月15日にマワリーバンドでも、やろうとしてるらしいから、その時かな?
この日歌った曲の中で、最も響いたのは「One More Time, One More Chance」 by 山崎まさよし。ラストステージでは、「今日のリストでもう一度聞きたい曲は?」と尋ねアンコールに応えて再度の熱唱。


この曲でしんみりした後は、ラストに、やはりDIOであっても「The Colored Rainbnw」。遠い国で苦しむ何億、何十億という人々に思いを馳せて、そのために何かしたいという気持ちがひしひし伝わってくる。やはり、マワリーはマワリーであった(笑)引退しても、この軸は変わらない、その決意はライブ後の歓談でも伝わってきた。
この曲を生で聞けるの、あと何回かな。惜しいけど、いまや歌手・マワリーというより人間・廻田彩夏のファンとして、新たなチャレンジで彼女が何をみせてくれるか、期待は大きいよ。
感化されて、帰路途中にある馴染みの飲み屋で、常連みんなとカラオケ大会。自分も大好きな山崎まさよしを歌ったが、やはり何度歌ってもこの曲は息が続かない。改めてマワリーさすが、と認識。歌、上手くなりたいなあ。
帰り道の月は、それは見事に輝いていたよ。