池袋の「鈴ん小屋」が新しくオープンしたライブハウス「ミスマッチ」。今宵の千早青企画イベント「夏音」の会場へ。遅くなったのだが、40分ほど押していて、２組目？のさくらかおりに間に合ってしまった。
ミスマッチはまだ工事中。入口に水が流れ、その中を踏み石を伝ってライブハウスに入るようにするつもりみたい。だが、まだ渡り石がなく、砂利の袋を積んでいるだけ。鈴ん小屋も、砂利の中に渡り石を置き、入場するようになっているが、あそこでできなかった本当の流水、早く完成形みたいものだ。
工事中は、その入口だけではない。看板もなし。音響、ライトなども作り込み中で、壁の塗装やパネルも未完成。椅子は少ししかなく、前の方のお客さんは地べたに座り込む形。まあ、鈴ん小屋らしいとも言えますが、せめてゴザとかあればなあ(笑)
そんな状況なので、音響はまだまだ、ハウリングも頻発、ライティングの調整ももう少し時間がかかりそうだ。But、ライブ・ゴーズ・オン。七組の女性シンガーたちが華やかに浴衣姿で、ステージを飾った。
女性シンガーをこれだけまとめて聞き比べられる機会もそうないが、贔屓差し引いて、いいくぼさおりが断然良かった。もう1人聞きたかった吉村かおりも、キョロザワールドも健闘すれど及ばず。トリのしばあみは、アイドルみたいなものだから違う意味で盛り上がってましたが。
あと、Ｐ氏オススメのきぃこ聞けなかったのが少々残念。ボクが聞けたさくらかおり、千早青はうーん、と黙り込むしかない内容。
そんな訳で、いいくぼさおりのステージ。他の出演者の出来は、音響悪いからこんなものかなと思って聞いていたが、いいくぼさおりが歌い出すと全然悪くない。弾むようなピアノ伴奏とよく透る声、卓越した歌唱力で、ミスマッチが途端に素敵なライブハウスに思えてくる。本当の実力者は、歌の世界でも「弘法は筆を選ばず」なんだなあ、と痛感。
セットリスト
1)眠れぬ夜のシンフォニー
2)ベランダでボーッ
3)風が変わる
4)うさぎ
5)最後に笑おう
6)叫び
7)ひまわり
ここまで1時間近く押し、かつ6組目とあって、開場前からいた人ですでに5時間以上ここにいる計算。地べた座り組も、席がなく立ち見の客もお疲れ気味。それだけに、動きがあってノリやすい「眠れぬ～」「ベランダ～」を最初に持ってきて大正解。一気に色々な意味での停滞感を吹き飛ばした。
客席の集中力を高めればこちらのもの。そこから、じっくり聞かせる展開に。先日のワンマンで発表したバラードの新曲「風が変わる」は、今までのいいくぼさおりにない、ひらたい歌詞で共感度高く、その丁寧で優しく、かつ迫力ある高音のパッセージで客の息を止める。
明るく「最後に笑おう」で盛り上げて、再び緩急の急で会場を温める。最後は切なさたっぷりに「叫び」、そして緊張感たっぷりのピアニッシモから「ひまわり」で夏の終わりのもの悲しさに会場を包み込んだ。
うん、これだから、いいくぼさおりは止められない。絶対に外れがない圧倒的なパフォーマンスで、ライブ代以上の満足感もたらしてくれる。
今週金曜日、9月10日には、彼女には珍しいバンド編成のワンマンが高田馬場の四谷天窓コンフォートである。19日(日)には渋谷O-EAST、26日には再びコンフォートで3連続ワンマンを締めくくる。その前には、大阪・名古屋に遠征もする。
もはや彼女の実力・人気は、堂々のメジャークラスになりつつある。アンジェラ・アキに続くピアノ弾き語りシンガーソングライター候補に、ヒナタカコと並び最有力なのではないか。決して近藤夏子ではないよ。
さて、この日、他に楽しめたのは、先に書いたがピアノ弾き語りの吉村かおりと、ギター弾き語りのキョロザワールド。
吉村かおりは、パーカッションとの掛け合いで笑いも取り、即興的に「チョコレートが止まらない」を生ビールが止まらないに変えてうたったり、他の出演者の名前を織り込んだり。出演者の中で、一番音楽と戯れていた印象。
あまり破綻せず、そうした遊びができるのは、ある程度、実力がある証左。音楽的にも、アーティストとしてもセンスを感じるホープだ。
キョロザワールドは真面目に演奏に取り組んでるところに好感。しっかりとギターを練習して実力を引き上げていそう。歌もボイトレの成果か、小さくて可愛らしいのだが、しっかりと強い声で表現豊かに歌っていた。
代金払ってきてくれるお客さんに対し、最低水準のパフォーマンスを見せられないなら、ステージに上がる資格なし。今日も一部、高校の学園祭でももっとましな演奏するぞ、という出演者いたが、変われないなら止めて欲しいね。