10/8/27 マリア 藤原奈津美 平絵里香 @渋谷HOME | 音楽偏遊

音楽偏遊

最近見たライブや気になるアーティスト、気に入った店や場所など偏った嗜好で紹介してまいります。アーティストさんへの言及などは、あくまで私個人の見解であり、特に中傷や攻撃を意図したものではないこと、ご了解下さい。

金曜夜に、マリアと平絵里香と藤原奈津美が対バンするなんて、何て素敵な取り合わせアップこれは聞きに行くしかないと、初めての渋谷HOMEへDASH!

同じギター弾き語りながら、音楽とか性格とか来歴とか三者三様。全く違うのに、よく一同に集めたなと驚き。個人的にはツボのブッキング。ナーイスグッド!

ステージは見事に志向するものの違いが現れて、面白かった。マリアはメジャー志向、藤原奈津美はギターテクニックも含めた弾き語り志向、平絵里香は自己表現の手段ととらえていて個性が際立つ。ファンの好みもそれぞれだから、持ち味があるのは良いこと。節操ないが、僕は3人とも気に入ってる。

ただこの日、ステージから放出されたエネルギー量は、圧倒的にマリアが大きく、断トツに楽しませてくれた。力の入り具合が違うのだ。心に響く熱唱は好感でき、その楽曲には共感した。

何よりお客さんを楽しませて、のせることに真剣。自分で空気を作り上げられなければプロじゃない、という自覚と覚悟を感じた。

彼女はアイドルの立場を早くに捨て、シンガーソングライターとしての復活をかけ表舞台から消えた。福岡で音楽修行に明け暮れ、ギター弾き語りアーティストとして復活、メジャーへのステップを自力で掴んできた。今は全国のライブハウスを地道に回り、各地でファンを積み上げている。甘えてないのだ。

今日、オープニングアクトの斉藤利菜や、その後登場した平絵里香が「今日の客は静かだ」といってやりにくそうにしていた。 確かにノリノリの客席では無かったと思う。でも、客の側から言わせてもらえば、斉藤利菜はノせてくれなかった。平絵里香は、さっき自己表現重視と書いたが、自己中心的だったともいえる。

斉藤利菜は、客との掛け合いから空気を作る型しかないのか、客席がのらないから自分ものれないという雰囲気ありあり。反応の悪さに、不安が表情に現れていた。むしろ自分の世界をまず作り、そこに客を引き込むようにすれば良かったと思う。最後に歌った「もしも」は、もう開き直ってたのか、随分良かったけど。

1)Happy Days
2)Love Love Love(カバー)
3)?(君とサマータイム~)
4)プレゼント
5)もしも


2番手に登場したのが平絵里香。イヤー、彼女は個性的でユニークで魅力的だ。椎名林檎と美空ひばりを足して2で割ったよう。やさぐれていて、うなるようなボーカルに引き込まれる。最近のアーティストでは、キノコホテルにも通じるかな。あっちはグループサウンドだけど。

ただ、そうした個性は好き嫌い別れる。僕はその不器用で純情な一面がかわいらしかった。関西出身らしく、ぶっちゃけていて、オモテウラがない。「ライブは自己紹介」と、自分を晒すスタイルも好感。

ちょっと曲名が分からなかったが、「まず私のダークサイドを表した」という最初の2曲は、若い頃に美空ひばりがクラブで歌っていた頃のような妖しさとうなり節が最高。

その後の純情路線の「雨と~」「あなたに恋してる」は、歌詞が乙女心をうまく表現してた。だが、それより平絵里香の強がってるけど、実は純情みたいなかわいらしい仕草が乙女だった。「もうすぐ三十路だけど、私いい加減だよね」と話してたが、万人受けしなくても熱烈に好きな人は結構いるのではないかな。


3番手は藤原奈津美。クールです。格好いいです。スラッとしたデニム姿で少し斜めに構え、黒っぽいギターをかき鳴らす姿が渋い。そして、かなりのギターテクで、彼女が刻むリズムが心をざわつかせる。最近好んでカバーしてるのがレニー・クラビッツという所からただ者じゃないね。

1)赤い鳥
2)8月の終わりに
3)?It Ain't Over(カバー)
4)側にあなたが居るだけでいい?
5)約束
6)青い季節

青い季節はいい曲だ。

気になったのはライブハウス側の問題。少しボーカルの音量が物足りなかったが、それはPAに原因があったよう。また、全体的に音がさえてなかった。照明も曲ごとに点けっぱなしで変化なく、舞台効果に乏しい。それらも、のれなかった理由だ。


ただラストのマリアは、そうした側面があっても会場盛り上げた。勿論、彼女が一番集客力があり、ファンが多かった。でも彼女の男性ファンは大人しいタイプが多かったのも事実(他のアーティストもそこに苦労してたね)。それでも、マリアは客を盛り上げ、惹き付けるものがあった。

1)忘れたくなくて
2)ありがとう…ごめんね
3)Crazy For You
4)Sweat Child Mine(カバー)
5)終われない夏


歌唱力がしっかりしている。勿論、もっと上手い人はいるけど、彼女も最後の「終われない夏」などアカペラで十分に聞かせた。英語のカバー曲は、英語での歌い方の修練はまだ必要だろうが、かなり格好良く決めていた。メロディーラインも分かりやすく、耳に入りやすい。

けっして「Getaway」のような、イケイケばかりの歌手ではない。最初からバラードの方が聞かせるアーティストだった。今はステップを踏んでるところだが、今後、何かをきっかけにブレークできる存在だと思う。

この3人が出演するライブを、今度はグラフィティでもソングラインズでも七階でも良いので、違うライブハウスで聞いてみたい。今日より満足できると思う。