さて、15日はライブではなく、演劇とNGOのトークセッションをはしご。なぜ演劇か?たまたま、飲み屋で居合わせた体も声もデカイ同世代の見知らぬ男に、数ヶ月前に誘われていたことを前夜にふと思い出したのだ。その男こそ劇団の主宰・演出家だった。

平成になって戦後は当に終わっていると他人事のように言うあなた

あの戦争を引き起こした、国民全てに当てはまる無責任体質は、今も変わってないじゃないか―――。そんな問題意識に正面から取り組んだ演出家、不破大輔らの力作。
地方財閥の面々を主人公にすえ、経済という側面から迫った視点が秀逸。池上彰の番組のように分かりやすい。解説調なくだりがやや演劇的な興をそぐが、楽しめた。
やはり、演劇はいいなあ。現代の当主にと期待されているが責任から逃げようとしている男と、戦時中に財閥の危機に立ち向かって挫折した祖父。2つの時代を行き来しながら、「誰かがやるさ」と投げ出す無責任さが、時代を暗転させていく事実に戦慄する。
祖父の日記をたどりながら、そこに気付いた孫が「誰かが」ではなく、自分で立ち向かう決意を固めていくというストーリー。青臭いけど、気持ちよい展開。
若干、滑舌悪かったり、演技力が乏しい役者もいたが、主役の2人はなかなか良かった。現代側のヒロイン、川村亜樹も、ステレオタイプな演技だが好感。過去のヒロインの1人、彩ちゃんが清純な色気で魅せる。
7月18日まで連日昼夜の公演があるから、行ける人は調べて行こう、レッツゴー

そして夜の部。

まあ、タイトルで分かる人は分かるだろうが、廻田彩夏が昔から関わっているPWJ主催。永く続いた戦乱で国を追われた難民や避難民が帰郷したが、水が無くて生活できない南スーダン。そこに井戸を掘る活動を何年も続ける現地スタッフの話に感銘す。現地の人々の未来を拓く仕事は確実な生きる手応えがあるだろう。一方でゴールははるか遠く、果てしない労苦と無力感が付きまとう。
すでに彼らが地元の人達と掘った井戸で、20万人以上が恩恵を受けているという。
現地報告と質疑の後は、廻田彩夏のトーク&ライブセッション。彼女が世界平和に目覚めたきっかけ、そのために起こした行動=歌を通じて世界に笑顔の連鎖を広げ、戦争を無くそうという壮大なチャレンジ……。
そんな話を交えながら、高1で始めて作った曲「The Colored Rainbow」、より多くの人にまず歌を聞いてもらおうと作った「カシグレ」「キンモクセイ」、認められて横浜ナンバー1ラブソングとなった「イチバン」。新潟の大地震被災者の支援活動で入った地で夢を運ぶ鳥といわれていた白鳥に着想した「夢鳥」などを熱唱。
そこには、「カシグレ」が似合わないほど幼さがぐっと退き、大人びた風貌で社会を見つめるマワリーの姿が。
歌は彼女にとって大切なものには違いないが、ビジネスという違う世界に挑む彼女が見つめる世界は、徐々にこれまでと違う彩りを放ちつつあるようだ。何か、もう彼女がその世界に進むことが必然のように思えてくる。
彼女はきっと何かやってくれるさ