10/5/21 渋谷めぐみ @六本木EDGE | 音楽偏遊

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最近見たライブや気になるアーティスト、気に入った店や場所など偏った嗜好で紹介してまいります。アーティストさんへの言及などは、あくまで私個人の見解であり、特に中傷や攻撃を意図したものではないこと、ご了解下さい。

予想通り(というか予定通り?)、ほぼ一週間ライブに行けず。だが、金曜夜までに懸案を終わらせ、渋谷めぐみを聞きに行った。

他にも聞きたいライブはあったが、仕事が終わった8時過ぎでも間に合う近場の六本木へ。進行がおし、結局彼女のライブが始まったのは9時ごろ。余裕で間に合った。

記憶が正しければ、こんなセットリスト。

1)さよなら
2)Day After Day
3)えんぴつ
4)秘密
5)奇跡
6)ユメオチ
7)東京

意表をつく冒頭からの「さよなら」(笑)。それに続くアコースティックな曲調の2)、3)、5)。EDGEということで、ガンガンのれるアップテンポな曲中心にするかと思ってたから意外。

今夜はギタリストの高田さんが急遽お休みに。ドラム、ベース、キーボードというサポート構成に。音の厚さに欠けるかと思いきや、かえってボーカルが際立ち、いつもより渋谷めぐみの存在感が引き立つ。最近では1、2を争う好ステージに。

高田さんは手練れなだけに、そのギターはいつも目立つ。いや目立ち過ぎ。しかもMCでは、彼女が舌足らずだからと、通訳を買って出てしまう。その結果、歌でもトークでも、彼女の存在感を薄れさせている面は否めない。高田さんの不在が、そうした側面に光を当ててしまった感じだ。

ただ、高田さん不在も良いと思えたのは、この日のサポート3人の演奏が素晴らしかったからだ。気の効いたしぶいベース、でしゃばらないが巧妙に音を華やかにするキーボード。何より印象的だったのは、これぞプロといった大人の世界感たっぷりのドラムだ。

際立ったのがユメオチの出だし。ドラムソロのイントロは、これまで聞いた演奏の中でも最高。ドンドンドドドンドンと始まる出だしは、ただ激しく扇情的になりがちだが、今宵は抑揚が加わり、バスドラの合間にチャやズといった音を絶妙に忍び込ませ、この曲が描きだそうとしているドラマが盛り込まれたようだ。

こうした好サポートを得て、しかもトリッキーなアレンジがなく原曲に近い伴奏のためか、渋谷めぐみも歌いやすそう。バックに合わせることに気を使わずに済むため、歌に集中。バラードでも、ロック調の曲でも表現力が素晴らしい。

細部に行き届き、声も乗っていて、「奇跡」などでは涙が出そう。この日のアレンジでややアップテンポにした「Day After Day」の明日もまた力強く生きていこう、という詞の世界がストレートに伝わってくる。

また、最後の2曲のノリの良さと、リズムに互して丁寧に詞がしっかり耳に入ってくるボーカルの質の高さの同居ぶり。いいじゃないか。もっともっと聞きたいぞ、と余韻もたっぷり。堪能した。渋谷めぐみを、他の3組の出演者やそのお客さんにもしっかり印象付けたと思う。


この日出演した他の3人の女性ボーカリストは、実はある師匠(会場に来ていたらいらかおるさん)の兄弟(姉妹)弟子。偶然渋谷めぐみと同じ構成だったバックの演奏者たちも3人か共有?。同じ人たちが3ステージ演奏する弟子の発表会のような趣。なぜシブメグが間に起用されたのか不思議。

そんなわけで前の2人はまだまだの段階。緊張感でガチガチで場数踏んでないこと明白。オリジナルはなく、ジャズやソウルのスタンダードを中心に。でも自分に似合わない選曲も多く経験不足。

シブメグもライブの本数多い方ではないが、それでも月に2、3回やってる。多いアーティストは月10回程度という人もいるし、ライブが無い日は路上で歌うなどしてお客さんとのコミュニケーションや惹き付けるステージング、歌唱力を人前で日々磨いてる。

でも、最後に登場した百瀬理さんは、すでにジャズバーなどで歌ってるのだろう。こなれた態度、少し軽いけどジャズの勘所とらえているボーカル、ボサノバアレンジのスタンダードをこなす応用力など、聴かせた。

また、バラードはいまいちだったトップバッターも、最後にロック調で歌った「ルート66」は秀逸。彼女のチアガールのような声には、スタンダードなジャズやムーディーな曲に似合わないかな。

でも、ジャズ、ポップ、ロック、ソウル、ボサノバなどなどが入り乱れるライブは、大人の夜に愉悦をもたらしてくれたことは間違いない。