10/3/2 TinySun ヒナタカコ CHARMS @南青山MANDALA | 音楽偏遊

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最近見たライブや気になるアーティスト、気に入った店や場所など偏った嗜好で紹介してまいります。アーティストさんへの言及などは、あくまで私個人の見解であり、特に中傷や攻撃を意図したものではないこと、ご了解下さい。

今夜はタイニーサンに会いに南青山マンダラへ。最近、マンダラが多いな。

今日の編成は、有由子ちゃんのキーボード、バンジョー兼ギターの沙衣子ちゃんのタイニー2人+フィドラー河村麻衣ちゃんの3ピース。やっぱりフィドラー入ると格好いいね。また麻衣ちゃんの主張の強そうな所が、カントリーのテイストが滲むタイニーサンの音楽に合っている。

これでまた一歩、彼女らが目指す米国の超有名カントリーバンド、Dixie Chicksに一歩近付いたか(笑)それにしては、メインボーカル有由子ちゃんが素直なよいこ過ぎて毒がないか。Not Ready To Make Niceどころか、最初からナイス過ぎます。もっとふてぶてしくなろう。さえちゃんや麻衣ちゃん見習ってビックリマークって彼女達が跳ねっ返りだとか、そういう意味ではありませんが(笑)

さて、今宵のセットリストはこんな感じ。
1)TinyTrain
2)なんてことない2人
3)精いっぱい
4)Colorful Avenue
5)私ここにいるわ
6)ただ好きだった
7)矢島(仮、違うタイトル考えようよ)
8)Hammer
9)悲しい月
en)MUSIC LIFE

フィドラーが入ったことで、2人だけの演奏に比べてぐっと音色の彩りが増した。アップテンポの曲は特に麻衣ちゃんのバイオリンが鳴いて踊り出したくなる。

さえちゃんも、もっとバンジョー持つ曲増やしたらいい(今日は最初とアンコールだけ)。やはり、タイニーはバンジョーでしょ、って知名度上がると思うよ。まあ、彼女たちがDuoやりたいと考えたきっかけの「ゆず」より、親父さんたち(カントリーバンド)に近くなってしまいますが。でも日本のエミリー・ロビソンになって欲しいものです。その点、8)のハンマーは、さえちゃんがテンガロンハットが似合うカントリーシンガーの素質を十分感じさせてくれる歌いっぷりでした。

今日の楽曲でバンジョー入れるなら「私ここにいるわ」とか、ずっと名称未定のままの曲とか。この曲、矢島美容室に歌ってもらう事を考えて作ったから仮称「ヤジマ」なのだが、タイニー史上最高にのれるクールなナンバーなので、格好いいタイトル決めた方がいい。例えば「DeeDeeDee」とか、「Ready To Run」みたいなノリのタイトルをね。

逆にギター伴奏で今日一番良かったのは「悲しい月」。一番きれいにハーモニーものり、切なさとタイニーならではの2人の絆がもたらすパワーが伝わった。「ただ好きだった」も、麻衣ちゃんが「いい曲だねー」と感心するほどの出来映え。あゆちゃんのソロが、本当に気持ちがこもっていて、どんな失恋があったのだろうかと邪推したくなるほどでした。


さて、この日は他に、一番手でCHARMS、2番手にヒナタカコさんが登場しました。

特にピアノ弾き語りのヒナタカコさんには感動した。和風の曲調で、うなるような低音からきれいなファルセットまで歌いこなす彼女のボーカルは、力強く、それでいて繊細で、色調あふれていました。特に元ちとせのような島唄歌いと通じる唸るようなこぶし?が魅力的。

彼女は福井県出身で、いまでも福井で活動することが多いとの事。大自然に包まれた故郷の彩りや空気が彼女の歌の世界にちりばめられ、曲想の根幹に横たわっていると聞いているとよく分かる。最後に歌った「春の花」で、九頭竜川の土手に敷き詰められた黄色い絨毯のようなカラシナ畑の光景、「三つ窓」から見える空の青、木々の緑などの景観、そして光。その自然に励まされ、慰められる心。
「時雨通り」では、雨にけぶるパリのモンマルトルの情景がさーっと浮かんだ。このおしゃれでアップな曲にも惹き付けられた。

歌詞が表層的な恋愛話に陥らないところ、とても好感できる。19歳のころに作った曲を披露し、その歌詞が実体験に近いリアルさがある、と指摘されていましたが、彼女自身が時を重ねて歌詞を抽象化しつつ、聞くものの心に残せるように進化してきたのでしょう。いい曲ばかりでした。

ピアノの演奏技術も素晴らしく、深みがある。鍵盤女性シンガーは数多いですが、僕の個人的な鍵盤トップ5に入れたい。ちなみに彼女以外の4人は現在、矢野絢子、いいくぼさおり、柊奈緒、伊藤サチコかな。そういえば、ヒナタカコさんが柊奈緒さんと顔や姿が似ている気がします。山形と福井、どちらも冬は雪が多そうで、自然も多いなど住む環境も似ているかもしれません。曲調も似てる(ただ声は随分違う)。そういえば矢野絢子さんは高知県在住。地方に優れた鍵盤弾きを産出する空気があるのでしょうか。

しかし、鍵盤弾きは本当に数多いねえ。前にも書いたけど、日本の豊かさがこんな所にも現れている気がします。先日聞いたばかりの斎藤さっこ、石山エリ、木下直子らを始め、お休み中の廻田彩夏やその盟友中山由衣、谷口深雪、斎藤恵、ヒグチアイ、masae、ヒメノアキラ、愛留、星村麻衣、戸城かなえ、山口菊野、末永華子などなど数え始めたらキリがない。

あっ、ハセガワミヤコさんもトップ5に入れたいなあ。うーん、困った。多士彩々、面白い。ギター弾きもこれに増して多そうだね。

そして、最後になりましたが、トップバッターで登場したCHARMSにも少し触れておこう。初めてでしたが、なかなか楽しめました。いまいちCHARMSを理解できていないのですが、多分、沢口千恵さんというナレーター/声優さんが中心に活動しているユニット。それに、妹?で歌手/俳優の石橋優子さんやピアニスト、パーカッショニストなどが加わり、歌と朗読劇を組み合わせたラジオドラマの公開収録のようなステージ。なかなか楽しめます。

特に石橋優子さんのボーカルがいい。素直な発声にきれいな声、強弱明暗をしっかりつけた表現力、どれも素敵。ただ、メイン?の千恵さんに遠慮してか、それともトータルな演出を意識してか、歌唱を抑え気味。彼女のソロライブで、思いっきり歌っているところを聞いてみたい。

千恵さんは、きれいなお姉さんという感じで、声を仕事にしているだけあって、とても魅力的な語りをされる。あの声で、今日の朗読劇でやった恋愛の言葉を耳元で囁かれたら、かなりきそうです。ただ、自分でも言っていた通り「裏がありそう」(笑)で怖いかも。

本日はCHARMSで初めて男性ゲストを迎えてのライブとのこと。登場したのは有名な声優さん、関智一。そう、「ドラえもん」のスネ夫役で、映画「ドラえもん」ではナレーションもこなしています。他にも多数のアニメや映画吹き替えをしており、本日のライブにも彼のファンと思しき女性がかなりの数来ていました。客席最前列は彼女たちが占めており、CHARMSが終わったら、後の二組聞く事無く帰ってしまいました。もったいない。その関さんと、千恵さんが優子さんの歌に合わせて男女の掛け合いをするのですが、舞台を見るようでさすがに巧い。かなり感心してしまいました。

三者三様、楽しい一夜でした。