18歳、高校生の頃に初めてアルバイトをした。

興味のあったコンビニの仕事を選んだ。

 

病気を発症して2年が経っていたけれど、それを押してアルバイトをした。

ちょっと街中のコンビニだった。

シフトは17時から22時。週に2.3日だった。

 

仕事を教えて貰って働きだしたけれど最初は仕事なんてできなかった。

中学生の頃引きこもっていて、それから高校へ通いだしたとはいえ、社会適応は難しい事は今ならわかる。

当時は自分にも人並みの事が出来るはずとかたくなに思っていた。

皆アルバイトをしているものだと思ってしまっていたのだ。

 

高校へアルバイトの許可届も出さずに働くことを強行してしまった。

 

コンビニのお客さんは水商売の人が多かった。

レジに持ってこられる商品はちょっといい物ばかりだった。

 

私は働くといい物が食べれるんだ、と思った。

羨ましいとかは思わずレジの仕事を必死にやった。なるべく早くやろうとすると考えている暇なんてなかった。

5時間立ちっぱなしなのはこたえたけど我慢した。

 

お客さんがコンビニの食べ物を買っていくのを見て、自分も働くようになったらコンビニでいい物を買って食べようと思っていた。

 

子供が労働をして得られたものは、コンビニへの憧れだった。

コンビニは美味しい物を売っているんだ、大人になって働くと、その美味しい物が自由に食べられるんだ、と思った。

 

アルバイト代でコンビニの物を買って食べればいいのに私はそれをしなかった。無駄遣いになるから。

 

 

若い頃は仕事が続かずずっと節約する日々だった。

コンビニの原価価格の物を買って食べるなんてしなかったし出来なかった。

子供の頃に働いたコンビニは私の中では高根の花になっていた。

 

30代の時に私は病院で働いた。

その時に自分のお金を自由に使う事を初めて位に自分に許した。

病気もあって、酷く疲れて病院の仕事を辞めた時、私は暴飲暴食に走った。

疲れすぎていて自制心が効かなかった。

私はコンビニの物を買って食べる事を繰り返した。

気になっていた物全てを試した。食べた食べた食べた。

 

コンビニ以外の物もたくさん食べた。

20キロ太るほど食べた。

 

コンビニの物を飽きるほど食べて思ったことは

 

「あまり美味しくないし飽きるし食べると体が辛い」

 

という事だった。

 

 

あんなに憧れたコンビニの食べ物だった。

子供の頃に見続けた、コンビニでちょっといい物を買って食べること、私にはできなかった。

私の買うものはそんなに高くないものだった。

 

派手な水商売風の男女がやっていたことをやってみたかった。

試しに意識してちょっといい物を買って食べてみたら、内臓が辛い感じがした。

私は体がそう強くない。

 

そんなことを繰り返した末、多分肝臓をやられて(肝炎?)寝臥せる日々になってしまった。

 

肝炎が治るとたぐいまれなる脂肪肝(医者がそう表現した)に悩まされた。今でも脂肪肝は治らない。

 

子供の私が憧れたものは「いい物」ではなかった。

 

あんなにきらきらしていたのに。

原価のお金を出さないと買えれないもの。

特別な大人が食べれるもの。

 

子供なのに労働をするものではないと思う。

子供の頃、私にとって、労働は辛い物だった。

 

今はコンビニを利用する事を少し考えている。

余り世話にならない方がいい物なのではと思っている。

 

大人になって、正しい考えが持てるようになり嬉しい。