働き始めてから、共通の趣味で知り合った子と仲良くなった。
Aさん・Bさん・そしてその2人の共通の友達だったかおりさん。
私だけ一人暮らし族だったので、よく家で遊んだりお泊り会をしていた。
インターネットというものが出来てすぐ回線契約したので、みんなでワイワイとネットをしながら遊んでいた。
仲良くなるまで時間はかからなかった。
ある時、Aさんが「かおりさんの実家がヤバい」という話をした。
霊感があろうがなかろうが100%霊が見られるらしい。
ちょっとちょっと、かおりさんどういうこと?!と突っ込んだら、かおりさんは素の顔で「いっぱいおるから、どれかは見れると思う」と答えた。
ちなみにAさんも泊まりに行った時にバッチリ見たらしい。
Bさんと私はまだ行ったことがないので半信半疑だった。
「死ぬまでに一回は幽霊見てみたい!」というBさんの猛烈なプッシュでお泊り会をする事になった。
私とBさんはそれぞれの仕事が終わってからバイクで集合。
Aさんはフリーターだったので昼ぐらいにかおりさんと合流して先に家に行く事に。
今みたいにスマホもナビも無いので、幹線道路と交差点名、お店の場所が書かれたメモを貰った。お店の先は集落で道が細くてグネグネしているから絶対迷う、とにかく店に着いたらケータイで教えてって言われた。
夜10時ぐらいに教えられた店に着くとBさんも到着したところだった。
かおりさんのケータイで連絡したあと「お互い残業すごいよねー」とか「コンビニで酒とかお菓子買ったでー」とか話をして時間を潰していたら、かおりさんとAさんが徒歩で迎えに来てくれた。
歩いて来たから「近いん?」って聞いたら徒歩10分…それぞれ2人乗りして移動。
道は本当に細くてグネグネしていた。(覚えられないので帰る時も案内してもらった)
着いた先は田舎の畑や田んぼの横に建っているような大きな庭付きの一軒家。
よく言えば広くて味がある。
悪く言えば古くてボロボロ。
借りている家だそうで、築何年かも不明らしい。
「トイレが離れにあるからこれがまた怖いんよー」とAさんが言った。
でも庭には松とか植わっているし私はすごいなーと思った。
歴史がありそうな家だから、この家に住んでいた人の霊が出ても不思議ではないのかなあ、とも思った。
かおりさんの部屋は一階の端。
お邪魔しまーすって言って入ったら八畳の畳の部屋。
買ってきた飲み物や食べ物を机に並べてお泊り会スタート。
趣味の話や、しょーもない話をしながらお酒を飲みつつお菓子をパクパク。
その頃には霊の話とかすっかり忘れて普通に楽しんでいた。
ちょうど0時を過ぎて日付が変わった頃、Bさんが「トイレ行きたい」と言った。
かおりさんが「場所教えるわ」と言って一緒に立ち上がりながらこう言った。
「トイレに小窓あるけど覗かんといてな。見えるから」
「見えたら嫌やから、溜めてから寝る前に一回だけトイレ行くねん」って言うAさんとゲラゲラ笑いながら話して待っていたら、Bさんが「ひぁー、ひぁー」とビビりながら帰ってきた。
「なんかいっぱい歩いてた!侍みたいな恰好した人!」
一回外に出たら渡り廊下みたいな所に出て、トイレ専用の小部屋があって、和式なのでかがもうとした時にどうしても窓が見えてしまうらしい。
大坂夏の陣ってやつで沢山の人が死んだ地域だと、かおりさんは話してくれた。
Bさんの話だけで30分ぐらいあっという間に経ったんだけど、いきなり天井から「ゴスン!」という音が聞こえたのでみんなビックリしてシーーーンってなった。
「ごめん、声が大きいから家の人怒ってるよなあ」と謝ったら、かおりさんは「大丈夫、あれお姉ちゃんの部屋やから。オカン工場で夜勤してるし」と手を振った。
「お姉ちゃん自殺してん」
もう一度シーーーンってなった。
かおりさんの父親は行方不明中。小学生の頃までは家にいたけど急に蒸発したそう。
お姉ちゃんは今のこの家に引っ越してきてから自分の部屋(私達がいる部屋の真上)で首つり自殺したそうだ。
他に妹が2人いるけど、家が気持ち悪すぎて就職と同時にそれぞれ一人暮らしを始めたらしい。
かおりさんも家を出たかったけど母親が一人になるのが可哀相で出て行けなかった。
だからこの大きな家にはかおりさんと母親しか住んでいない。
Aさんは知っていたけど、私とBさんは初耳。
不憫と言うか、お姉さんは霊になっても怒ってるんちゃうかとか、2人で住むには広すぎへんかとか、落ち武者みたいな霊もはや関係ないやんとか、頭の中はぐるぐる。
また一時間ぐらい語り込んだ。
そのあとAさんの膀胱が限界を迎えたので私と2人でトイレへ。
本当に庭に渡り廊下みたいなのがあって土壁の小さな建屋にトイレがあった。
先にAさんが入ったけど「あァーーー」とか「うわーーー」とかめっちゃ怖がってた。
トイレを交代する時に見えたの?って聞いたら、見えたと。
それでビビり倒しながらトイレに入ったけど、私の時は何も見えなかったし、逆に外で待ってるAさんの方が怖がってた。
待っている間も百姓一揆みたいな恰好した人がずっと見てきたらしい。
え?どこ?と身を乗り出したらAさんに手首を掴まれて真っすぐ部屋に連れていかれた。
明け方までビビりつつも話を楽しみ、最後は畳の上に寝転んで仮眠をとった。
Bさんが「コタツがあったらそこで寝たくなる部屋やなー」と言ったら、かおりさんが「置いたら足掴まれるから置かれへん。昔は置いててんけどな」と当たり前のように言った。
最後まで楽しませてくれるエンターテイメント屋敷だった。
私以外はそれ以外にも見たり聞いたりしたみたいだけど、何故か私だけ何も体験出来なかった…。(かおりさんから珍しがられた)
かおりさん家に行ったのはその一回だけ。
Aさんはその後も何度も遊びに行ってたみたいだけど、Bさんが「あれは面白がっていく場所やない」と言って行きたがらなかった。
大阪市の南側にある町。
今は住宅開発のせいで家はないそうです。