北斎のDNA | 湧flow

北斎のDNA

お栄ちゃんに会えるo(^▽^)o!!

先週のNHK日曜美術館を見ていたら,板橋区立美術館で「北斎のDNA展」開催中で
北斎の娘お栄,葛飾応為の作品も展示されているというではありませんか!
もう,いても立ってもいられない気持ちで,今日板橋まで行ってきました。

応為の作品に初めて会ったのは,二年前の江戸東京博物館で行われた
ボストン美術館所蔵作品展「江戸の誘惑」の会場。
休日に行ったために非常に混雑しており,
人ごみに辟易して順を追って観ていく気になれず,
人の頭越しに,なんとなく眺めて,
「これは」と思う作品だけ近くに寄っていくという観方をしたところ,
ほとんどが北斎の作品でした。

楽器を演奏する三人の女性が描かれた作品が気になったので
これも北斎かなぁと寄ると,
「三曲合奏図」
作者の名前を見ると
「葛飾応為」
えっ,北斎じゃない?これだけ描ける画家なのに,今まで知らなかったなんて…。
脇の説明を読むと,北斎の娘で北斎の助手を務めていたとあります。
改めて,その絵に向き合うと
構図,デッサン力,色彩,すべて素晴らしく,
何より,女性が奏でる音が聞こえてきそうな躍動感。

その時から,すっかり葛飾応為に魅了され,
北斎(鐵蔵)と応為(お栄)を題材にした杉浦日向子さんの「百日紅」も何度となく読み,
北斎の作品を見ると,
「もしかしたら応為の代筆かも…」と,
まずは疑ってみるようになりました。

北斎の絵の背景を描いたり,時には代筆を請け負うことなども応為の役割で,
独立した作家として描いたとわかる明確なものは希少です。
これを逃すと,
またいつ本物を観るチャンスが巡ってくるかわからない。
逸る気持ちを抑えながら,展覧会会場に足を踏み入れ,まずは作品を探します。
ありました。
「吉原格子先の図」
A4程度の思いのほか小さい作品で,
この時期の他の浮世絵にほとんど取り入れられていなかった明暗の表現を巧みに用いて描かれています。
吉原の顔見せの格子から漏れる灯りの光と,遊女を選ぶ客の後ろ姿の逆光になった影。
会場内でひと際異彩を放つこの作品の前には,そこだけ人だかりが絶えることがありませんでした。
残念だったのが,ガラスから作品までの距離があり,絵の細部を充分に確認できなかったこと。
でも,その辺は美術館側も気を使ったようで,
図録には原寸大の破格の大きさで掲載してありました。

14:00からの聴いたMIHO美術館長の辻惟雄さんの講演会でも,
かなり応為に注目されている様子でした。
私が感動した「三曲合奏図」を褒め,

また,小布施にあるという作者不明の菊の花の絵を紹介される際,
「これは北斎じゃない。でも,これだけ描ける北斎門人は…,ひょっとすると…」
とおっしゃいます。
私などは,「北斎じゃない」ってところで,
もうすっかり「お栄に違いない!」と勝手に決めつけ,応為の作品4作目にカウントしましたヾ(@^▽^@)ノ。

北斎作品の中に,応為の筆跡をみつける研究,
どなたか,よろしくお願いしますm(..)m本