アキレスは亀に追いついたのか? | 湧flow

アキレスは亀に追いついたのか?

今日封切りの「アキレスと亀」(北野武監督作品)観てきました。

売れない画家の倉持真知須(ビートたけし)と,
それを支え続ける妻幸子(樋口可南子)の物語。

「芸術」の世界に生きる画家,その家族,画商
の姿をデフォルメして,たかが芸術と笑い飛ばし,
合間合間に,されど芸術というこだわりがチラチラ隠し絵のように仕込まれていて
楽しめました。

先日,「人を動かす事を芸術という」と書きましたが,
動かすためには,ある意味「命かける」くらいのかなりの本気がなければダメなので,
本気が行き過ぎて,命落としちゃったりする人が何人も映画の中に出てきます。
その死に様は,実にドライにあっけなく
「あっ」
って感じで生死の境を超えていくのですが,
じゃあ,死ねば人を動かせるかっていうと,それも違うんだよなっていうのが,
このドライさに表れているような気がします。

作品中にはかなりの数の絵が出てきます。
そのうち70点ほどはたけしさん自身で描かれたものなのだとか。
主人公が画商にけなされるシーンで,たまに
「ん,でも,なかなかイケてるんじゃないかなぁ」
と思うものもあったので,いくつかはかなり本気で描かれたんだと拝察します。

映画自身には,すごく泣けるとか,すごく惹かれるってことはなかったですが,
観終わって駅に向かいながら,なんとなく気持ちが軽くなった作品でしたカチンコ