百日紅 | 湧flow

百日紅

恥ずかしながら、私、読めませんでした(-_-。)「百日紅(さるすべり)」。

今までに山などで、何度か見かけたことはあるし、小石川植物園にもあるので、樹自体は知っていましたが、木肌に触れてつるつる感を楽しんで「なるほどね。猿も滑るからさるすべりね」で終わり。
その花は印象になかったのですが、夏頃に長期にわたって美しい花をつけるのだそうです。

散れば咲き 散れば咲きして 百日紅  (加賀千代女)
の句から表題をとったという杉浦日向子さんの「百日紅」が届き、読みました。
描いてます。バリバリ描いてます。お栄ちゃん(北斎の娘=葛飾応為)。
しかも北斎先生の代筆してたことも描かれてます。
先日観た北斎漫画(映画)よりも、ずっとリアルに北斎(鉄蔵)とお栄が生きていて、なんか嬉しくなりました(^.^)。

残念ながら昨年亡くなられてしまいましたが、杉浦日向子さんは江戸風俗研究家としてつとに有名。
百日紅は漫画ですし、多少の脚色はあるかもしれませんが、鉄蔵+お栄の人気絵師父娘については、それ相応の検証があった上での表現でしょう。
江戸の町の地名も頻繁に出てきて、両国には見せ物小屋がたっていたのねとか、時折出てくる太鼓橋は、今高速道路の下にある日本橋かな…とか、江戸の様子もぞんぶんに楽しめます。
何年か前ですが、会社のビルを出たところで、建物を見上げていた男性と目があって、「番町皿屋敷跡はこの辺ですか?」と聞かれたことがありました。「はっ?いやぁわかりません…」と答えて、息せき切って社に戻り「今、知らない人から番町皿屋敷跡はどこかって聞かれたんだけど、この近所なんですかっ?」と先輩に聞いたら、「そうだという説もあるらしいけど、ちゃんとは聞いたことない」との答え。
その話でひとしきり盛り上がった何ヶ月か後、岡山に出張した同僚が、「皿屋敷は、実は岡山だったらしい」とお菊の井戸(と言われている)の写真を写メしてくれました( ̄_ ̄ i)。
北斎の時代は、怪談も大流行で、北斎自身も魑魅魍魎の絵を描いているし、女弟子の葛飾北明というお化けの絵を得意とする絵師も百日紅に登場します。

この「百日紅」に描かれている18世紀末~19世紀にかけての江戸は、多くの文人、絵師が活躍し、文化が絢爛に華開くと同時に、猥雑な部分(エロスとタナトス)も多分に存在してます。まさに美と醜、天国と地獄の共存状態。

「江戸」の魅力と活気で、元気もらった気がします。
お栄ちゃん、私も頑張るグッド!