画材(紙) | 湧flow

画材(紙)

水彩も、木版画もベースとなる画材は「紙」。
水彩や木版画と油絵の表現や技法の違いは、ベースの性質と絵の具の関係から生まれるものが大きいと思います。

これらの性質の大きな違いとは、ベースが絵の具と水分を吸い込むかどうか。
油絵のベースとなるキャンバスは、絵の具が染みこまないように麻布に塗料を塗ってあるので、油絵は、油で練った絵の具そのものの色や質感(透明感やツヤのあるなしなど)がストレートに表現されます。
一方、紙をベースにする水彩は、どんな紙を用いるかで、仕上がりに大きな差が出ます。
今、私が使用しているのはアルシュという水彩や版画専用に作られたフランス製の紙。水彩に興味ある方は、筆にたっぷり絵の具と水分を含ませて、この紙を試してみてください。いわゆる画用紙との違いがよくわかると思います。紙の価格としては高いと思われるかもしれませんが、発色の美しさ、にじみの面白さは絶妙で、それだけの価値ありの逸品です。

木版画には、和紙を用いています。
当初は、日本橋の和紙専門店で版画用の高知の和紙を購入していましたが、最初の個展の後、この和紙が製造中止になってしまいました。
そのお店の他の紙を少し試したのですが、絵の具を溶く水を少なめにして、何版も薄く重ねて別の色をつくるという手法を用いているため、ある程度の紙の厚さが必要なのと、絵の具ののり方になかなか納得できず、すぐに代わりを決めることができませんでした。
結局、故郷の愛媛から何種類か和紙を取り寄せて、高知の紙に一番近い仕上がりが出た愛媛県喜多郡五十崎町天神産紙工場の大洲和紙を使っています。


水彩も版画も、湿度や天気で状態が変わったり、絵の具と紙の微妙なバランスの加減で表れ方が違ってくるので、油絵にはない難しさがありますが、今のところ「紙」が性に合っているようですヒツジ