「泣かないで」 | 湧flow

「泣かないで」

音楽座ミュージカルをご存じですか?
約10年前、仕事で外出した際に丸ノ内線の電車内の広告をみて気になり、初めて音楽座ミュージカルの舞台を観にいきました。
この時はとりあえず後ろの方の安い席でしたが、それまでブロードウェー系のミュージカルしか知らなかった私には、大きな衝撃でした。
私が観た「泣かないで」は、遠藤周作さんの「私が・棄てた・女」が原作。この非常にシリアスな小説を、質の高い歌と踊りで見事にミュージカルに仕立て、きちんと原作のテーマも伝えられている作品です。
この「泣かないで」が10年ぶりに再演されています。今日は東京芸術劇場で、この作品を満喫して泣いてきました(^^;)。
主役の今津朋子さんと、朝倉摂さんの舞台美術は10年前と同じ。役者さんは、一部のベテランを除き、ほとんどが変わりましたが、踊り・歌・構成ともにバランスのとれた質の高さはパワーアップされていました。
音楽座ミュージカルの魅力は、特定の演出家を設けず、出演者みんなで創り上げていく独特の方式から生まれています。パワーアップの理由もこのあたりにあるのかも。


カーテンコールが終わった後も、オーケストラボックスで続いていた演奏を聞き、名残惜しい気持ちで席を立って出口に向かう途中、まるで陰膳のように、原作と写真を載せた遠藤周作さん用の椅子があるのに気づきました。
亡くなられる前病床で、何度も「泣かないで」のビデオを観て、作品の中の歌を一緒に口ずさんでいらしたという遠藤さん。今日は一緒に舞台を観たのかな…(^^;)と、ちょっと嬉しくなりました星