ロイヤル・オペラ『スペードの女王』The Queen of Spades(ロシア語)
3月21日(木)@TOHOシネマズ日比谷
【作曲】ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
【演出】ステファン・ヘアハイム
【指揮】アントニオ・パッパーノ
【出演】セルゲイ・ボリャコフ(ゲルマン)
ウラディミール・ストヤノフ(エレツキー侯爵)
エヴァ=マリア・ウェストブロック(リーザ)
フェシリティ・パーマー(伯爵夫人)
若い士官ゲルマンは、伯爵家の娘リーザに燃えるような恋をしている。だがリーザにはエレツキー公爵という婚約者がいた。
ゲルマンは身分違いの恋を成就させるために、賭け事に必ず勝てる3枚のカードの秘密をリーザの祖母、伯爵夫人から聞き出そうとするのだが…。
帝政ロシアのサンクトペテルブルクを舞台に、野心に満ちた青年士官が狂気に取り憑かれ、自分と恋人を破滅へ追い込むまでを描いた名作。
プーシキンの小説を原作にチャイコフスキーがオペラ化した。
《白鳥の湖》《くるみ割り人形》《眠りの森の美女》などのバレエや、オペラ《エフゲニー・オネーギン》でおなじみの優美な音楽に加え、悪徳をはらんだドラマチックな展開が息をもつかせない。
英国ロイヤル・オペラの《スペードの女王》は、ノルウェー出身の売れっ子演出家ステファン・ヘアハイムが手がけ大評判になったプロダクションの上演である。
ヘアハイムは舞台にチャイコフスキーを登場させ、この悲劇を作曲家自身の不幸と重ね合わせて読み解いた。
スター歌手たちの出演も魅力だ。ゲルマン役にはアレクサンドルス・アントネンコに代わりセルゲイ・ポリャコフ、そして今回の演出ではチャイコフスキー役も兼ねるエレツキー公爵役に演技派のウラディーミル・ストヤノフ、美貌のリーザにエヴァ=マリア・ウェストブロック、そして老伯爵夫人役にフェシリティ・パーマーが出演する。
パッパーノの指揮はチャイコフスキーのドラマを浮き彫りにしてくれるだろう。
<あらすじ>
士官ゲルマンは名前も知らぬ令嬢に恋をしていた。公園で出会ったエレツキー公爵から、彼女が伯爵夫人の孫娘で公爵の婚約者であることが分かる。ゲルマンは友人のトムスキーから、伯爵夫人が若かりし頃、パリのサン・ジェルマン伯爵から絶対に負けない三枚のカードを教えてもらったという話を聞く。リーザと相思相愛となったゲルマンは逢い引きをするつもりで彼女の屋敷に忍び込み、魔が差して3枚のカードの秘密を教えるように伯爵夫人を脅迫し、夫人は恐怖から死んでしまう。伯爵夫人の幽霊はゲルマンにカードの秘密を告げる。リーザと逃げるはずだったゲルマンは彼女を振り切って賭博場に駆けつけ勝負に挑むのであった。
原作はプーシキンの短編小説『スペードの女王』ですが、チャイコフスキーの弟とチャイコフスキー自身が大幅に改変してオペラの脚本を起こしたそうです!
今、原作のあらすじをググったけど、オペラの脚本のほうがずっとよいと思いました
怪奇小説ということもあって、灰色~黒の衣装が続くので「椿姫」などの華やかさには欠けるため、あまり上演されないのかなあ?(日本で上演されることってあるのかな?)
まあ、シネマシーズンでは珍しいオペラを見られるのもメリットだしね
この伯爵夫人ですが、若い頃はその美貌から「モスクワのビーナス」と呼ばれていたというのがまずすごいです(もちろん今は80歳になっていて見る影もないのですが・・・)
それと、今回だけなのかチャイコフスキー自身も登場してる。そしてチャイコフスキーはモーツァルトの信奉者だったそうで、モーツァルトへのオマージュを感じさせる趣向もあります(魔笛の引用がちょっとある)
ここにはあえて書かないけどチャイコフスキーの公然の秘密(同性愛?)と、公然の謎(コレラに汚染された水を飲んで死んだ?自殺行為??実は自殺を強要された??)についても上演前の演出家のインタビューで出てきてびっくりしました
演出家の方がかなりのチャイコフスキー・マニアなんだろうね~
あの美しい音楽は彼のアイデンティティを維持するために必要不可欠だったらしい。
職業というより生きるために作曲していた
愛より賭博での成功の魅力を選んでしまった主人公。
ばかだなあと思うけど、ギャンブル依存症になる人が多いことからも麻薬のような魅力があるんだろうね、賭博には
いろいろな意味で恐い作品でした
このトランプゲームが何というゲームなのか分からないけど、この三枚のカードに賭ければ絶対、勝つなんてことあるのかしらん??
侯爵夫人、若い頃、その美貌でその秘密をパリのサンジェルマン伯爵から聞き出したというのもすごいね(その代償に一夜を共にしたんだろうけど、それで一度は失った全財産を取り戻せたのだから安いものだ
)
この老伯爵夫人を演じたフェシリティ・パーマーさんて74歳だそうですが、お声は艶のあるメゾソプラノで素晴らしかったです 鍛えてるとずっと良い声が出るのね~
チャイコフスキー作曲、プーシキン原作の別の有名なオペラである『エフゲニー・オネーギン』、来年だかに新国立劇場で上演されるのが楽しみになってきました(METライブビューイングで一昨年ぐらいに見たことはあるが)