嫁の謎の逃亡についてもよく分からなかった。


興信所は嫁母がつけたものだと聞いていたが、不倫の事実を知り、嫁が怒るのなら分かるが…

なぜ逃亡??

しかも息子を置いて??


太郎の不倫はバレたが、子どもたちとのやり取りのことなどもあり、バレて以降も嫁母とは当たり障りのないやり取りを続けているらしい。


嫁母から少し聞いた話では、

嫁は太郎とは音信不通になっているが、嫁母とは少しやり取りをしているらしい。

逃亡先はどこか県外とのこと。詳細は不明。

ただ、連絡できるということは、携帯を充電できる設備のあるところに出入りはできているはず。

ホテルなどの宿泊施設か知り合いの家か…

それくらいしか分からなかった。

離婚については、嫁がいなければなにも進まない。


ただ、太郎にとってはこの嫁逃亡事件はいい話だった。


太郎は、できれば子ども2人の親権は自分が持ちたいと考えていた。

子どもを置いて音信不通で1週間以上家にいないと言う事実は、親権獲得に有利に動く情報になるかもしれない。


不倫した太郎が親権を持てるのか?

と疑問にも思っていたが。

不倫前から別居の事実があること、

別居前からも夫婦関係は破綻していたこと、

もし嫁側が親権を持っても、統合失調症のため安定した就職は困難、金銭面でも精神面でも子どもたちを養っていくことは難しいこと

などをあげてどうにか親権を取りたいと思っているらしい。


とりあえずは向こうの出方を待って、話がうまくまとまりそうになければ弁護士を挟んで進めて行きたい、とのこと。


なかなか長期戦になりそうな予感がして、春子は少しずつ不安な気持ちを抱えていくことになる。