燃えろアタック特設サイト | 燃えろアタック公式サイト

燃えろアタック特設サイト

中期のラガー編でも、その完成形とでもいえる回であった。
一方579話「鳩の舞う街」でもラガーの少年のドラマは結実する。
鳩によって自分の人生を棒にふった男。その男は鳩に毒を注入し、大量殺人を企てる。少年の鳩はそれに利用されてしまう。
ラガーは、少年の鳩を泣きながら射殺する。
少年はラガーを許さない。しかし、ラガーは少年のために鳩小屋を建て直す。そして、別の鳩が少年の小屋に帰ってくる。ラガーは言い訳はせずに少年のために黙々と作業をするしかなかったのだ。
ラガーにとっても辛い事件であった。
ラガー終期の傑作は655話「左ききのラガー」だが、少年と、射撃の約束をする。3発あたったら、手術をすると。しかし、無差別殺人犯との対決で、ラガーは肩を怪我してしまった。無差別犯は幸せな恋人も、幸せなアベックも、すべてを射殺してラガーと対決する。ラガーは彼を射殺して、少年との約束に向かう。
ラガーは当たるはずのない射的を撃つ。その姿に感動した少年は、自分の中の子供と決別し、手術を受けると誓うのだった。
渡辺徹は映画『夜明けのランナー』で美池真理子と共演した際、走りすぎて肉離れを起こして入院してしまう。それで、食べ過ぎて太ってしまうのだが、そのことから、暫く、骨肉種で入院するという設定となった。
619話「ラガー倒れる」から入院生活が暫くつづく。殉職への伏線であった。
そして、復帰した後、久々の女性ゲスト回651話「号泣」に主演する。
ラガーとしても最終主演作に相応しい貫禄であった。
7年間姿をくらましていた凶悪犯の田島が再び人を殺した。かつて母を殺された川田あつ子は整形後の田島をみているが、一時的に記憶を消していた。田島は現在、あつ子が勤めている店のマスターで小池と名前を変え、彼女の父親変わりになって親身に面倒を見ている。しかし、ある事件が発端となって田島の悪が目を覚ます。田島は自分の死体を偽装し、あつ子を殺そうとする。しかし、ラガーはそれを間一髪で阻む。あつ子のあしながおじさんは、皮肉にも、あつ子の母を殺した男だったのだ。善人になろうとしてなれなかった田島は、ただ、ひたすら、号泣するのであった。
ラガー編の特徴。少年、少女、初恋の淡い想いとの決別。そして、裏切りと再出発。その全ての要素を持った最終主演作であった。
そして、4年の沈黙を破って、ラガーも殉職する。
658話「ラガーよ、俺たちはお前が何故死んだか知っている」シリーズ中、最も長いタイトルとして有名な回であるが、バスがジャックされて、乗っ取られるバスと乗客。しかし、ダイナマイトを持つ犯人に手出しができない警察。
暴力団、竜神会は、有力証人が乗客であることをつかみ、バスごとその証人を狙撃して殺そうとする。ラガーは単独でそれを阻止し、
「やめろー!!」と犯人と銃撃戦で相打ちになり、殉職する。
それでも、連絡しようとエレベーターまではっていくラガー。開閉するエレベーターが悲しかった。
ラガーの殉職編は歴代殉職回でも最も、笑われてしまう回になってしまった。
というのは、渡辺徹ほど、死のイメージからかけはなれた男はいないからである。
死すらも明るく演出する。また、彼ほど悪人を演じられない役者はいないのではないであろうか。