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太陽にほえろ!後期ファンよ立ちあがれ!
ラガー編
ビッキーHONMA

○天才、ラガーを支えた男たち
 尾西兼一、古内一成、大川俊道、


 渡辺徹は天才である。純粋で清潔で誰からも好かれる天才である。少し低迷していた『太陽にほえろ!』は彼の登場とともに持ち直し、寿命は延びた。
 それは努力もあっただろうが、彼の天賦の才能がそうさせたのであろう。
 渡辺徹は生徒会長であった。いや、中村雅俊も、森田健作も、篠田三郎も、この手の俳優は生徒会長が多いが、彼の場合、別に成績がよい訳でもない。とにかく、明るいのである。明るく好かれる男である。いや、神田や、世良も明るいが、それ以上に明るいのである。『太陽』歴代刑事中最も明るい男がこの渡辺徹という男である。
 私としてもあんな友人が欲しい。それが、渡辺徹、ラガー刑事である。

たのきんトリオ主演の『金八先生』に視聴率首位の座を脅かされた『太陽にほえろ!』は、更にボスの大病も加わって、存続の危機に危ぶまれていた。そこで、たのきんに負けない魅力の彼が選ばれた。実は徹の他に、もう一人、候補者がいたというが、10人中9人が徹を選んだ。そして、反対した人物は岡田晋吉ただ一人だったそうだ。「あの人に合わせちゃうところが気になるな」と岡田は不審がったが、他の人物は皆、徹を選んだのだが、小川英は彼を入れたら絶対に人気は出ると確信していた。
その合わせてしまう性格が、見事に好かれる魅力ではないだろうか。私などは人の意見に反比例する性格なのでなおさらである。彼は退職したスニーカーの後任として登場した。
ボンからスニーカーを貰って刑事になったスニーカーの残したシューズをはくことで。
しかし、全刑事の弟分として、ドックの相棒として、ラガーは走り始めたのである。グリコのCMに頻繁に出て、たのきんトリオに劣らぬアイドルとして大々的に派手な登場を飾ったのである。476話「ラガー刑事登場!」は、スコッチの最後の入院前の在職回でもあったし、スコッチの一言でラガーのニックネームが決まった。そして母親と初出勤してきてみんなを呆れさせた。ボンもおばあちゃんと初出勤してきたが、マザコン的なところは似ているのである。
ラガーの主演回は青春物のカラーが最も強い。女性文芸重視であり、ゲストとの淡い恋物語はむしろ、ボン、ドックに劣らぬくらいである。そのいくつかを紹介していこうと思う。
渡辺徹も歌手として、『約束』などを歌い出し、アイドルとして人気絶頂だった。
まず、坂上味和の528話「真夜中のラガー」。犯罪者の共犯である味和を最後まで信じ、ラジオを通して彼女にメッセージを送る。
淡い恋心を寄せて。「俺だって苦しい。みんな苦しいんだよ。でも一生懸命生きようじゃないか。頼む。自首してくれ」しかし、その心は彼女には伝わらない。
間もなく、犯人と共犯の彼女は逮捕されるが、ラガーの思いはまるで伝わらない。
しかし、ラジオを聴いていた別の女の子がラガーの説得で家出を取りやめ、ラガーに感謝するのであった。ラガーの心は晴れた。こういう、残酷な、青春の裏切りと、最後の救いがラガー編の特徴であった。
540話「北の女」では、強盗殺人犯を愛する女。なんでそんな男を。とラガーは反発するが、「あの人、あの寒い冷たい、北海道で、私にだけは優しかった。だから私」と女の気持ちを理解する。しかし、強盗犯との銃撃戦でラガーは男を射殺する。
「俺が殺しました」女にわびるラガー。彼女はそっとおでんを差し出した。雪が降ってきた。
548話「金曜日に会いましょう」では、漫画の内容を話してくれる編集者のお姉さんが、ひき逃げをされてしまう。子供たちの心と彼女を思い怒りを爆発させるラガー。
560話「愛される警察」では、やけを起こした篭城犯から白石まゆみを助けるラガー。
しかし、ラガーが刑事と知って、彼女はラガーを裏切る行動をする。彼女は、以前、暴行され、警察にいやな取調べをされたのだ。しかし、ラガーのひたむきさにラガーに協力して事件を解決。看護婦として再出発を決意するのだ。
563話「たすけて!」は、自殺未遂を図る女。その端書「たすけて」と書いたハンカチを拾うラガー。ブルースとともに事件の真相を探るラガーは、彼女は、孤独で失業保険でくいつないでいる「死にたい女性」であることに気付く。亜槍文代の魅力的な脚本が、現代女性の深部に入っていく。
570話「遠い思い出」は堀内泰治監督。ラガーが少年時代に心思っていた親友は、実は卑劣な強盗犯で、学生時代から、他人を蹴落とし、蹴落とし、生きてきた。