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宮内は語る。
 「『太陽にほえろ!』はホームドラマなんですよ。お父さんのボスがいて、兄貴の刑事たちがいる。七曲藤堂一家の物語ですよね」
 その点でも畑嶺明、桃井章ら、俺たちシリーズを平行して書く作家がメインとなったのは当然の帰結といえよう。ロッキー役の木之元が、宮内主演の青春ドラマ『あさひが丘の大統領』(79)24話にゲストで出たことからもその信頼の絆がうかがえるのである。
 畑、桃井の他にこの時期、大車輪の活躍をした作家がもう一人いる。杉村のぼるである。
 杉村の作品は正直いってどれも面白い。『星雲仮面マシンマン』(84)や『スケバン刑事』『仮面ライダーBLACK』(87)以降、特撮もののライターになった感が強いが、氏の真骨頂は刑事ものである。その証拠に氏がメインライターを努めた『特救指令ソルブレイン』(H2)は、氏の頂点を極めた刑事アクションドラマである。
 ともあれ、畑は『毎度おさわがせします』で大人気作家となり、桃井も『花を下さい』他で昼メロ作家として大活躍している。
 『太陽にほえろ!』はまさしく、シナリオライターの梁山泊であったのだ。故、小川英という旗印のもとに若手作家が大車輪の活躍をする。『太陽』出身の作家は全てが今も第一線の活躍をしている。
『太陽にほえろ!』15年の歴史の中で頂点を極めたの回が323話「愛は何処に」324話「愛よさらば」の前後編になるであろう。
 最も『太陽』らしい犯人像。俺たちの村という貧しい若者たちの村を作るために金を投資した会社が計画倒産してしまう。
 怒った若者たちはその会社の隠し金を強盗する。その中にボンの恋人、幸子(純アリス)がいた。ボン、ロッキーは彼らを北海道に追うが、犯人をザイルを助けた事故のため、ロッキーの心臓が一時、停止してしまう。
 ボンは、怒りに燃えて犯人を追うが、若者たちに共感し、犯人清水健太郎を射殺できずにためらうが、ボスが射殺する。ボンは幸子に手錠をかけた。
 内容的にもボルテージが高く、『太陽』の地方ロケシリーズでもナンバー1の出来であった。『太陽にほえろ!』はこの時期、内容的にも、人気的にも、絶頂に達するのである。
 そして、4年間の沈黙を破り、ボンが殉職する時がきた。
 『太陽』史上、最も泣ける殉職シーンであった。宮内はここで、美人ではない女をかばって死にたいと思ったらしく、根岸とし江がゲストで出た。
 強盗犯に裏切られ、死んだ姉につづき絶望した妹。その彼女をかばって、電話ボックスに撃たれた体を引きずって一歩一歩進んでいく。その姿はまるで自分も一緒になって進んでいっているような、そんな感じにさえとらわれた。仲間たちの声が聞こえる。
ロッキーの声『先輩、頑張って下さいよ』殿下の声『どうした、ボン、しっかりしろ!』ゴリさんの声『怪我人、助けるのもデカの仕事さ』長さん、山さんの微笑み、そしてボス『お前のような部下を持ったことを、俺は誇りに思う』
 かすんでくる目、道路にしたたり落ちる血、そんな体のボンに電話ボックスはあまりにも遠すぎた。―――とうとう、電話ボックスに到着したボン。あたたかなボスの声が聞こえる。安心しきった表情には微笑みさえ浮かべている。
 ボンが死んでから、ロッキーはハードな鬼になった。以前の甘さはなくなり、新人、スニーカー(山下真司)の先輩として、ハードな捜査をするようになる。
 スニーカーはチンピラに絡まれたところをボンに助けられ、スニーカーを買ってもらい、刑事になった男である。当初はロッキーもスニーカーも、ボンの死を意識しすぎた感があって行動パターンが定められてしまった。ただ、ボンの残した言葉、
『人生は一度っきりしかないんだから、大切にしろよな』
を残して。