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極めつけは360話「ボンは泣かない」である。我が最愛の紀比呂子さんがゲストなのだが、強盗から、自己防衛のために組員を殺した後、だるま式に何人もの人間を殺した彼女、千佳を、
「君は優しい人なんだ」と説得する姿にボンとしても、最終主演作の貫禄をみせた。
 紀さんに聞くと、結構、「拳銃が重くて大変だった」そうだ。紀比呂子の店、「はく」で聞いたことによる。
 いずれも畑嶺明、桃井章両氏の書いたものが多く、畑氏によると、
「ボンにも恋人を作ってあげたかったけど、そうすると視聴者からの苦情が凄いの。改めて宮内の人気の大きさを感じたね」(畑談)
ボンはテキサスと同じく2年くらいで殉職させる予定だったという。しかし、あまりの助命嘆願書の両に(一万通だったという。)3年4年と生き残ることになる。中にはNTV社長宅に電話して「ボンが死んだら生きていけない」といった女の子もいたという。
 改めて、当時の『太陽』の人気の凄さに舌をまく。
 そしてボンはテキサス亡き後、ロッキー(木之元亮)という相棒をえて、先輩刑事として、大きく成長した。髪型もわけ、もみ上げをのばし、初期のストレートヘアから、独特のボンボンスタイルを決め始めた。私はこちらのボンのほうがたまらなく、好きだ。
 そして、ロッキーとのコンビはドジで早とちりで2枚目半のコミカルな側面が出てきた。
 当初2枚目しか居なかった『太陽』に多少、喜劇の要素が入り始めた。
 コンビは共同生活をし、オーストラリアの平原、名古屋の街、北海道の原野などを走り回り、また、都会の若者の犯罪を追った。お人よし、早とちりの失敗も多いが、ファンを楽しませた。オーストラリアロケは、266話「逃亡者」267話「追跡者」日本テレビが高視聴率のため、ご褒美にロケをさせてくれたそうだ。そして名古屋ロケは、302話「殺意の証明」。ボン、ロッキーの共同生活が際立つ回は286話「悪意」。
 ボン、ロッキーコンビの時代、それは『太陽にほえろ!』の最盛期である。
 これは、マカロニやジーパンが若者だけの地方区のドラマだったのに対して、幼児から、お年寄りまで取り込める全国区のドラマになった結果であった。
 そこには『俺たちの旅』をはじめとする『俺たち』シリーズの影響があったのは間違いない。『俺たち』シリーズは青春ドラマであるが、二人の男が一つの部屋で共同生活をし、そこに恋人などが絡んでくる青春群像ドラマである。ボンは先述のように恋人を作れなかったが、ロッキーは後に結婚する早瀬令子(長谷直美)のちに岩城令子となる。と恋をするのだが、当初はボンとロッキーと令子は奇妙な三角関係のような趣があった。肉体派で
奥手のロッキーに対して、ボンは強くて、わがままな面をもっており、このトリオが活躍し、友情、愛情を育てる話も数多い。
 トリオの出逢いである275話「迷路」。人助けをした殺し屋の過去を暴く、280話「狼」。ゴリさんと令子が令子の上司の罪をめぐって対立する283話「激突」。山さんと推理小説作家が令子の推理マニアのお陰で解決する296話「ミスプリント」。ゴリさんがカレーの臭いで救出される318話「カレーライス」。ペスト菌に冒された犯罪者を医者に化けたボスとともに令子が看護婦として助ける329話「タイムリミット」。ロッキーと令子の初デートの362話「デイトヨコハマ」。……そして、407話「都会の潮騒」でロッキーと令子は急接近。420話「あなたは早瀬婦警を妻としますか」で結婚するのである。
 令子の登場で、『太陽』は益々、俺たちシリーズ的側面を持つようになる。
 それ以外にも、この時期は長さん(下川辰平)の娘の結婚、息子の進学問題。ゴリさん(竜雷太)と最初の恋人の再会。殿下(小野寺昭)と三好恵子(香野百合子)-(『ウルトラセブン』の「盗まれたウルトラアイ」のマヤ役で有名)のラブストーリーもタテ糸となっており、視聴者の女性をはらはらさせる展開も多かった。
 殿下をかばって恵子は爆破の怪我で歩けなくなるのだが、必死にリハビリをして愛を育てる。そして、彼女は再起するためにアメリカに旅立った。そして、その帰国日に殿下は事故死してしまう。